実際の見積書を見てみると、店頭価格5.5万円のクーラーを7.5万円で所有者に請求。さらにクーラーの設置費として通常1.5万円の工事費を2.5万円で所有者に請求しています。
つまり、合計7万円であるはずのクーラー設置費用が、7.5万円+2.5万円で合計10万円となるわけです。3万円の中抜きです。もちろん、サブリース業者に丸投げすることで、クーラーの購入や工事の手配といった手間は省けますので、「まあ、仕方ないよね」と思える人には便利な仕組みだとは思います。しかし、実際には、こうした中抜きの状況について気付いていない所有者が多いように思います。また、受水槽に関する法定点検費用なども当然中抜きされますのでご注意ください。
借地借家法により
多くのサブリース契約の解除は困難
このように中抜きされるポイントがいくつもあるというのが、サブリース会社と契約することの第一のデメリットなのですが、第二のデメリットが前回も申し上げた「借地借家法によりサブリース会社が守られている故、サブリース契約を解除できず、半永久的に継続せざるを得ない」というものです。
例えば私の前回の記事を読んだ、サブリース契約をしている賃貸アパートを所有している瀬戸さん(仮名)。彼は遅ればせながらサブリースのデメリットを理解したので、業者に解除を申し立てたところ「解除できない」と強硬に言われてしまい、弊社に相談に来ました。
彼は悲痛な面持ちで次のように説明してくれました。
「なんとなく割高だよな、というのは分かっていたんです。でもそれも手間賃かなと。しかし納得いかないのは、クーラーの取り換えや換気扇の取り換えなどについて、サブリース会社は毎回事後報告なのです。また、私に報告もなく勝手に取り換え代金が引き落とされることも常態化しています。この6月末にも月の締めをチェックしていたのですが、管理会社から送られてきた支払書に、報告された記憶のない『301号、403号 浴室換気扇交換 各々4万6200円』という代金が引かれていました。不審に思い、担当に連絡をしたところ、取り換えをするという連絡は4月に行っていたものの、その後見積書を提出することなく、勝手に発注・取り換えをし、代金を引き落としていたのです」
以下は瀬戸さんに送られたサブリース会社の担当者からのメールの引用です。
○○(サブリース会社の管理社名)の和田(仮名)です。
(中略)
浴室換気扇につきましては、4月3日にメールでの不具合報告をさせていただき、交換工事の金額の文章での御見積提出を忘れておりました。
大変申し訳ありません。
今後このようなことが起こらない様、進捗状況を確認しながらご報告をいたします。
「換気扇に関して4万6200円とあったのですが、私の持っている物件の換気扇は昔の換気扇で、よくあるプロペラファン型です。ネットで検索してみたら工事費込みでも1つ1.5万円で交換できるということが分かりました。ああ、ここでも3万円近く中抜きされていたんだなと。そこでサブリース契約の解除を申し出たところ、できませんの1点張りです。知り合いの弁護士に相談しても、サブリースの解除は無理ですよと言われてしまい…」と、瀬戸さんは途方に暮れています。
もちろんお客様の手間を解決するのがビジネスですので、双方納得の上で、サブリース会社が中抜きすること自体は悪ではないと思います。大手の中にはサブリース契約を解除できる良心的なところもありますが、多くのサブリース会社では解除ができないというところが問題だと考えます。