主要行で公的資金の返済が終わっていないSBI新生銀行。SBIホールディングスと政府が繰り出した荒業には、新生銀の特別委員会からも反対意見が出た。少数株主の利益を顧みないとの批判が広がっている。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
SBIHDの新生銀行買収で
北尾氏が繰り出した“奇策”
「借りた金は返す」――。SBIホールディングス(HD)の北尾吉孝会長兼社長は、2021年12月にTOB(株式公開買い付け)で傘下入りさせたSBI新生銀行の公的資金返済について、こう主張し続けてきた。
新生銀の前身である日本長期信用銀行は、1998年に政府の公的資金注入を受けて一時国有化。主要行で国への返済が終わっていないのは新生銀だけだ。残りの約3500億円を返済するには、政府が保有する約22.97%の新生銀の株式に対し、株価が7450円程度となる必要がある。だが業績が長年低迷し、SBIHDの傘下入り後も2000円程度で推移。株価の引き上げには限界があった。
そこで北尾氏は奇策に出た。SBIHDが持つ50.04%、政府の22.97%と自社株を除く少数株主の26.85%の持ち分を応募せずとも強制的に買い取り、非公開化するとの計画を5月に公表した。