痛みが移動したり、痛かったり痛くなかったりと症状に波がある時は、そんなに慌てなくとも大丈夫なことが多いそう。一方、医者が言う「マズい痛み」というのは、ずっと同じところに痛みを感じるケースだ。

 同じ場所が痛いのは、何かがそこにできているのではないかという“気になるサイン”で、基本、「痛みは移動しない」のだという。

「例外は虫垂炎(いわゆる盲腸)ですね。最初は胃の痛みを覚え、2~3日たつと、胃よりもお腹の右下が痛くなってくることが多い。それ以外の胃腸系の疾患は、仮にお腹の左下に病変があって、患者さんが痛みを感じてから受診するまでにタイムラグがあったとしても、左下の痛みが消え去って、まったく別のところが痛くなるようなことは稀です。左下に病変があれば、左下はずっと痛いはずです」

 同じ箇所がずっと痛い。だんだん痛みが増す。あるいは同じ箇所を中心に痛みが広がる場合は、時を置かずに病院に急行だ。

 さらに、医者が検査をしたほうがいいと考えるのは「症状に変化がある患者」の場合だという。

「『過敏性腸症候群で、もう何十年も同じ症状』という患者さんであれば、早急な検査は必要としない場合が多いですが、反対に『以前は○○だったが、最近××になってきた』というケースは検査をお勧めします」

「血便だけはほっとかない」
医師が即刻検査を勧める理由

 たとえば、血便。「今までは問題なかったが、最近、ペーパーにうっすらと血が付くことが多い」といったケースを指す。石黒医師は、特に「排便時に血を見たら、ほっとかない!」と強調する。

「血便は大腸がんなど、重い消化器系の病にとって、最も心配なサインです。意外と血はバーッとは出ずに、少々出血する程度のことも多いです。つまり、血の量の問題ではないので、少しでも出血を見たら、消化器内科医に相談して欲しいんですね。

 早期発見ならば、大腸がんは内視鏡で取れちゃいますし、がん切除後も、ステージが進行していなければ、抗がん剤や放射線治療も必要ないケースがほとんどで、元気に暮らしていけますから。『きっと切れ痔』とスルーしないでください」