「大腸カメラは痛くて苦しい」
のイメージは今や様変わり

 とは言っても、大腸カメラは、肛門から内視鏡を入れる、なかなかに勇気が必要な検査。二の足を踏む人も多いに違いない。

「検査時の痛みを心配する患者さんもおられますが、今は本当に苦痛を感じずにできるということを知っていただきたいです。当院の場合、必要があれば胃カメラと大腸カメラの検査を同時にしていますが、かかる時間は10分ほど。鎮静剤を使って、ふだん睡眠をとっているのと同じ状態で検査をしますから、目が覚めたら、すでに終わっています。  

 数分寝ている間に検査終了なので、挿入されているチューブの違和感も、痛みもありません。もちろん、患者さんの性別・年齢・体重など個々の状態によって、麻酔の量や種類を調整していますので、安心して検査を受けていただきたいです」

 大腸カメラの場合は腸を空っぽにするための下剤を飲む必要があるが、量も調整可能。普段から下痢気味であれば、通常量よりも少なくて済むので、事前に医師に相談して欲しいとのことだ。

「血液検査も入れた合わせ技でやっていくこともありますが、そこまでせずとも、大腸カメラ、胃カメラ、超音波の3セットをやっておけば、お腹の病気はだいたいカバーできます。

 同じ症状が出ていても、当初疑ったのとは別の疾患というケースもありえます。検査をしながら、この病気ではないなと、ひとつひとつ除外していくことによって最終的に残ったものが診断名になるんですね。これを“除外診断”と呼びますが、下痢や便秘で苦しんでいる人は、このプロセスを経て『過敏性腸症候群』の診断が下ることが多いです」

 痛みや出血は体からの大切なサイン。「お腹やうんちが、なんか変だ……」と不安になったら、“餅は餅屋”の消化器内科に相談だ。

 次回は「医者の上手なかかり方」についてお伝えしよう。


【監修】石黒智也(いしぐろ・ともなり)

放置すると怖いお腹の異常、医者に行くべきタイミングはいつか?

 日本内科学会認定内科医/同・総合内科専門医/日本消化器病学会専門医/日本消化器内視鏡学会専門医/H.pylori感染症認定医/日本がん治療認定医機構 がん治療認定医/日本消化管学会胃腸科専門医/緩和ケア研修 修了医。1979年、岐阜県生まれ。2005年、岐阜大学医学部卒業。総合病院での一般内科、消化器内科、救急医療の研修を経て、胃・大腸内視鏡検査及び治療件数で全国有数の昭和大学横浜市北部病院・消化器センターに入局。「痛くない、つらくない」内視鏡の挿入法などを徹底的に学ぶ。2016年、神奈川県茅ヶ崎市にて「湘南いしぐろクリニック」開設。現在、「新横浜国際クリニック」「湘南いしぐろクリニック 鎌倉院」と合わせて3施設の医院を運営する医療法人社団MBSの理事長を務め、早期がんの発見やお腹のトラブル撲滅のため、日々研鑽を積んでいる。趣味はプロ野球観戦、サーフィン、カラオケ。医大生時代は本気で芸人を志したこともあり、お笑い番組も大好き。