レスポンスは良好。ハイブリッドのパワー感は十分
新たな販売方法で若いユーザーにアプローチ

 今回はクラウン・スポーツのPHVモデルに富士スピードウェイのショートコースで試乗できたので、ここでその印象を綴っておこう。ただし、試乗は合計5ラップで、しかも大雨のなかで実施されたため、あくまでも限定的な内容であることをご承知おきいただきたい。

 路面がフラットなサーキットでの試乗のため、乗り心地に関してはあまり厳密なことはいえないが、サスペンションの動き方は基本的に滑らかで素直。チーフエンジニアの皿田明弘氏は「俊敏なハンドリングを実現するためにロールやピッチを抑えた」と説明したが、確かにボディの無駄な動きは抑え込まれているものの、ブレーキングやターンインでは自然なノーズダイブやロールが起きて、接地感は掴みやすいと感じた。しかもクロスオーバーに比べてステアリングレスポンスは良好で、クルマとの強い一体感が感じられる。この辺はショートホイールベース化にくわえ、クロスオーバーに続いて搭載されたダイナミックリアステアリング(DRS)の効果もあるようだ。

 ステアリングフィールは全般的に雑味の少ない洗練されたものだが、路面からのインフォメーションをしっかりと伝えてくれる。

 ハイブリッドシステムが生み出すパワー感に不満は覚えなかった。俗にいうラバーバンドフィールも、クロスオーバー同様、私はほとんど気にならなかった。実用上、十分以上に力強く、そしてレスポンスも良好だ。

 ただし、エンジン音をはっきりと聞かせようとするセッティングには疑問を抱いた。開発陣は「エンジン音を聞かせるからには、もっともっと音質を磨いていくことが必要かもしれない」と語っていたが、いくらスポーティで若い世代を狙うとはいえ、エンジン音はもっと小さめなほうがいいと思う。