一方、試乗車が装着していたミシュラン・eプライマシーはウエットグリップがやや物足りないように感じられたが、滑り出しやグリップが回復する過程が穏やかで、安心が強いことは高く評価できる。また、車載のスタビリティ・コントロールの動作が緻密で、介入や解除のマナーがスムーズだったことも特筆しておきたい。

 なお、今回の試乗会には、抽選で選ばれたトヨタパスポート・エクスプレス会員も招待されていた。これはトヨタのサブスクサービス、KINTOの残価設定型プランで新型クラウンを購入し、3年以内に2台目のクルマを同一販売店で契約することなどを条件に加入できるメンバーシップで、会員は特別残価率(1年間で最大86%)が適用されるほか、今回のような試乗会、開発者との交流会に参加できるチャンスがあるという。こうしたプログラムを展開していることからも、トヨタが新型クラウンを通じて若い顧客層にアプローチするとともに、新しいクルマの購入形態を広めようとしていることがうかがえる。

 つまり、新型クラウンは商品企画が斬新なだけでなく、デザイン、クルマの味付け、さらには販売形態に関しても新たなチャレンジに挑んだといえる。こうした挑戦がトヨタの未来にどのような影響を与えるのか、注意深く見守っていきたいところだ。

(CAR and DRIVER編集部 報告/大谷達也 写真/大西 靖)

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