物置部屋を作ることで引き出せる
親の「本音」は大事な情報

 物置部屋の中でまとまりが出てくると、親自身もモノと向き合いやすくなります。モノに対する意思表示がその場であれば、それに応じて処分も進められますよね。

親「座布団はもう処分しようかな」
子「じゃあゴミにまとめておくね」

親「タオル、こんなにあるけど捨てるのがもったいなくて」
子「リサイクルに出そうか?」

親「お酒も頂いてばかりで結局飲まないのよね」
子「お正月に集まった時にみんなで分けやすいように手前にまとめておくね」

 このように会話しながら進められれば、皆さんの達成感もひとしおでしょう。

 もし、処分が思うように進まなかったとしても、がっかりしないでください。物置部屋を作ることで、親が思ってもみなかった反応を見せたり、意外なエピソードを聞かせてくれたりすることもあります。

「この椅子、すごく好きなブランドで高かったの。誰か大切にしてくれないかな」
「このかばんね、頂いたんだけどあんまり好きじゃなくて、ほとんど使わなかったの」

 私は、どれだけ処分を促せたかより、どれだけこうしたコミュニケーションを取れたかの方が大事だと思います。「思い入れのあるモノ」と「惰性で所有しているモノ」の違いが分かれば、少し時間を置いてから、「あのかばん、もういいんじゃない?」とそっと背中を押すこともできます。また、親亡き後も、自信を持って親の意思を尊重した片づけを進められます。

 今回は、実家の片づけで、つい強引な片づけを押し付けてしまう失敗例とその対処法を解説しました。この夏に帰省される人は、ぜひ親世代との良いコミュニケーションを築いてくださいね。さらに詳しい片づけの方法は、『家じゅうの「めんどくさい」をなくす』という本に書きましたので、よかったら読んでみてください。

(家族の片づけコンサルタント sea)