大学 地殻変動#3Photo:Patric Xo/gettyimages

「米国のトップ大学に合格する日本人学生は超が付くハイレベルで、東京大学、京都大学とのW(ダブル)合格はザラ」と都内の海外大学受験専門塾の関係者は言う。では、日東駒専・大東亜帝国レベルから米国の一流大、超難関大に入る方法はあるのか。特集『大学 地殻変動』(全21回)の#3では、荒唐無稽ではない“堅実”な成り上がりルートを導き出した。(ルートマップマガジン社代表取締役 井上 孟)

米国のトップ大合格者は
東大・京大「W合格」がざら

 米ハーバード大学、米スタンフォード大学といえば、誰もが知る世界最高峰の大学だ。「これら米国のトップ大学に合格する日本人学生は超が付くハイレベル。このレベルになると東京大学、京都大学とのW(ダブル)合格はザラ」と都内の海外大学受験専門塾の関係者は言う。

 ハーバード大を筆頭とするアイビーリーグや、スタンフォード大、米マサチューセッツ工科大学(MIT)など米国の超名門大学群は入学難度で東大、京大以上といわれている。

 自己推薦である総合型選抜入試は、米国の入試と審査項目が似ていて併願の相性が良い(下図参照)。高みを目指した日米併願というのは、合理的な選択といえる。

 日本の総合型選抜とシステムが近いとはいっても、米国のトップ大学の要求レベルは高い。限りなく5.0に近い高い評定を要求されるのはもちろんのこと、日本の入試で志望理由書に当たるエッセーは、「英語で数千文字」を求められる。

 米国の超難関大学の方が課題テーマは深く、例えばアイビーリーグの米ブラウン大学の今年のテーマは「自分自身の成長課程での学びや、困難を克服した経験を基に、あなたが大学のコミュニティーに提供できるオリジナリティーのある貢献を述べよ」などがある。

 また、米シカゴ大学は毎年学生から募集したユニークなテーマを出題することで有名だ。過去には、「奇数の何が奇なる点なのか」「Xを見つけよ」というような哲学的なテーマが出された。解答には、自分なりの価値観や自己アピールを盛り込む必要がある。日本の志望理由書とは次元が違うほどのハイレベルなものが要求されている。

 さらに厄介なのが課外活動、先生の推薦状が必要であること。超難関大学を目指すならば、課外活動といっても単なる「部活の部長をしてました」というレベルでは駄目だ。大人を巻き込んでゼロから団体や企業を立ち上げたり、お金を動かしたりするなどの実績を大学は要求している。自分がしたい研究内容に近い大学教授や、著名人からの推薦状など、トップ大学になればなるほど要求水準は限りなく高くなる。

 よって、超難関大学は対策に専門の塾へ通って2~3年以上かけるのが通例。並大抵の努力では歯が立たないのが現状だ。中堅以下の大学であれば、前述ほどの書類の要求はされず、ひとまず評定と英語、それに日本でいう大学入学共通テストに当たるSATやACTなどの条件をクリアしていれば入学可能なことが多い。

日東駒専、産近甲龍の受験者層が
米国の一流大に入る「一発逆転」

 では、日本国内で中堅あるいはそれ以下の大学を受験する層、具体的には「日東駒専」(日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学)、「産近甲龍」(京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学)、「大東亜帝国」(大東文化大学、東海大学、亜細亜大学、帝京大学、国士舘大学)、「摂神追桃」(摂南大学、神戸学院大学、追手門学院大学、桃山学院大学)を受験する層が米国の一流大学、超名門大学群を目指すというのは不可能なのか。

 実は、ルートがある。東大や京大の受験層のようにいきなり併願してW合格を果たすというのはさすがに無理がある。しかし、米国の入試システムを理解すれば、「一発逆転ルート」が見えてくる。

 次ページでは、日本と米国の大学序列マップから、一発逆転ルートを導き出し、徹底解説する。英検3級レベルもしくは総合型選抜を目指す凡人こそ、実は学力上位層よりも米国で成り上がりを果たし得る。