シューフィッターとして、人々の靴の悩みを解決するこまつ氏の元には、靴ずれ以外のサンダルトラブルに見舞われた人からも相談が寄せられる。

 なかでも圧倒的に多いのが、ヨーロッパ系の健康サンダルを履いている人からの「足裏のアーチ(土踏まず)が痛い」という相談だ。

「痛みの原因は、サンダルと自分のアーチの高さのズレにあります。メーカーが考える『理想的なアーチ』と、ご自身のアーチの高さがズレていると、激しい痛みを感じてしまうのです。履いた瞬間に『痛い』と思ったらアウト。みなさん『健康にいいはずのサンダルなのにどうして?』と、疑問を感じています。有名なシューズメーカーの中には、数十年間技術が止まったような商品もあるので注意が必要です」

 一方、スポーツメーカーのサンダルの場合は、大量のデータを商品開発に活用しているので、アーチの高さに問題を抱える人は少ないという。

 そのほか、数万~10万円以上のハイブランドのサンダルも「足に合わない」と悩む人が多いと、こまつ氏。

「どのハイブランドも、靴を設計するときに重視するのは『おしゃれさ』であり『履きやすさ』ではありません。ブランドロゴを大きくデザインしたシャワーサンダルも、ブランドを見せるためのアイテムなので、30分も歩けば足が悲鳴を上げます。そういう方には簡潔に『これを履いて歩かないでください』とアドバイスをします」

 どうやら、価格と履きやすさは比例しないようだ。

足への負担が少ない
リカバリーサンダル

 こまつ氏は、サンダルに限らず“靴ずれする靴”を履き続けるリスクについて、こう解説する。

「靴ずれになると、足をかばって歩くので、無理な体勢を取るようになり、段差がないところでも転倒しやすくなります。それと関連して、無理な姿勢をカバーしていると、正しい姿勢がわからなくなる、という負の連鎖を引き起こすのです。頭の重みに引っ張られて極端な前傾姿勢になり、膝と腰を痛めて、自分でも気が付かないうちに歩き方が老人のようになることも。足の痛みと転倒に対する恐怖から、重心が下に下に沈んでいき、歩くだけで体力を消耗するようになるので、外出がおっくうになるリスクもあるのです」