ぱっとしない数字の原因は
「為替差損」と「海外投資の評価損」

 さて、未来の話に入る前に足元の状況から確認していきましょう。ソフトバンクGはソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下、SVF)とソフトバンク本体が所有する投資部門(以下、本体投資)、二つの大きな投資ビークルを使ってさまざまな企業に投資をしています。

 2022年3月期に過去最大の1兆7000億円の最終赤字に転落した際は、このSVFの投資評価額の悪化が大きかったのですが、今回の決算発表の良い兆候としてSVFの利益回復が挙げられました。

 SVFの投資損益は今回の四半期でマイナス130億円まで回復、セグメント別税引き前利益は610億円の黒字となり、1年前からの増減では実に2.4兆円近くも利益が改善しています。

 実はSVFはこれまで過去5四半期連続して投資損益の下落を続けていて、累計で実に6.5兆円もの利益を失っていました。それが、6四半期ぶりに反転したというのが今回の決算発表における明るいニュースです。

 一方で、為替差損と本体投資の赤字計上が全体の決算数字の足を引っ張りました。この投資赤字についてはアリババ、ドイツテレコム、Tモバイルの3社の評価損が大きかったのですが、このうちアリババについてはデリバティブ関連利益で相殺できています。ちなみにこれまでソフトバンクGの“打ち出の小槌(こづち)”だったアリババについては、ほぼ換金化が終わっています。

 つまり、今回のぱっとしない決算数字は主にドル建て社債の為替差損と海外の通信2社への投資の評価損で、それ以外の投資については回復基調にあるというのが直近の状況です。

 さて、ここからが本題です。ソフトバンクGの未来はこれからどうなるのでしょうか? 3つのポイントで未来を予測しましょう。