あくまでこの記事を読む皆さまも株式投資は自己責任で行っていただきたいのですが、私の場合、昨年11月に突如ChatGPTブームが起きるとすぐに、マイクロソフト、エヌビディア、テスラなどに投資資金をシフトしました。

 しかし、テスラ株は7月の決算発表直前に全株売却し、その後株価は下がっています。エヌビディアについては8月23日の決算まで持っているつもりですが、決算発表後に売却する戦略を立てています。

 ちなみに、私よりもずっと賢い世界のファンドや投資銀行に視線を移すと、利益は十分にとったことで、すでにリスクオフをしている機関投資家が多数います。

 このようなタイミングで、ソフトバンクGが全社を挙げて「投資を再開する」と宣言している点自体が懸念点なのです。

 具体的に言うと、一番おいしかった2022年3月から2023年6月までの期間に投資を抑制し、今、世界中でIT株が高騰してしまった後に投資を再開することで、ソフトバンクGはアームという打ち出の小槌をまた浪費してしまうのではないかという懸念を感じるのです。

ソフトバンクGが投資したIT株は
AIブームに乗り切れていない

 さて、3番目のポイントです。

「AIで世界中の投資家が大儲けをしているタイミングなのに、ソフトバンクGの業績はなぜ、ぱっとしないのか?」という疑問について、ソフトバンクGは決算発表で興味深いグラフを提示してくれています。

ソフトバンクGの“ぱっとしない決算数字”より要注目!投資事業の「不気味な動き」ソフトバンクグループ決算資料より抜粋
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 これは、2022年3月を100としたときの2023年8月7日の世界の株価の動きについてのグラフです。上記の期間、マグニフィセントセブンと呼ばれるグーグル、アマゾン、アップル、メタ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラの7社が世界の株式市場をけん引しました。この7社の時価総額は合計すると、この期間で100から123.1に増えています。

 一方でアメリカの株式市場のインデックスであるS&P500の500社からこの7社を除くと、100から105.7までしか増えていない。要するに、この期間にアメリカの株式市場をけん引したのは前述のマグニフィセントセブンであるということです。

ソフトバンクGの“ぱっとしない決算数字”より要注目!投資事業の「不気味な動き」ソフトバンクグループ決算資料より抜粋
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 そして、マグニフィセントセブンに続いて株価を上げたのがハイテク企業が多いアメリカのナスダック市場で、全体平均で100から114.5まで伸ばしています。

 では、ソフトバンクGが投資をするようなベンチャー市場はどうだったのでしょうか。トムソン・ロイターが発表したベンチャーキャピタルインデックスは100から120.3と、やはり大幅に増加しています。

 つまり、S&P500、ナスダック市場、ベンチャー市場が全て好調だったのです。

 ここで問題になるのは、この期間にSVFの投資した上場株は、100から108.4にしか増えていないということです。

 アメリカのIT株がAIブームに沸く中で、ソフトバンクGの投資はそれほど沸いていないという残念な事実があるのです。

 なぜ、そんなことが起きているのでしょうか。