2023年10月からインボイス制度が始まります。「増税ではないか?」「経理の手間が増え、負担が増大する」など、さまざまな意見が出ています。そのインボイス制度の影響を強く受けるのが「ひとり社長」です。しかし、業種・業態・売上規模によっては、「インボイスに登録しないほうがいい」と提案できるケースもあり、戦略的な選択が求められる制度ともいえるのです。
本連載は、経費精算から決算・申告まで、ひとり社長の経理の基本を学ぶものです。著者は、税理士の井ノ上陽一氏。インボイス制度、電子帳簿保存法に完全対応の『【インボイス対応版】ひとり社長の経理の基本』の著者でもあります(発売は8月2日)。「ひとり社長なら、経理はこれだけでいい!」とポイントをおさえた1冊になっています。

【電卓はいらない】仕事の生産性が落ちる「残念な道具」6選とは?Photo: Adobe Stock

生産性が落ちる? 6つのNG道具に注意!

 経理に関わる道具で私が使ってないものがあります。むしろ使わないほうが経理は効率化できます。具体的には次のものです。

①テンキー
②電卓
③複合機
④プリンター
⑤スキャナー
⑥FAX

 順に見ていきましょう。テンキーのほうが数字を速く入力できるかもしれませんが、数字をひたすら入力していては、効率は上がりません。連動やExcelのインポートなどを活用して、データで処理することを目指しましょう。

 とはいえ、多少なりとも入力するものはあります。自分が立て替えた経費などです。そのときは、テンキーではなく、キーボード上部にある数字キーで打ちましょう。

 テンキーのスピードを上げるよりも、数字キーをタッチタイピングできるほうが、全体的な効率は上がります。文章を入力するときにも数字は使います。テンキーはキーの位置が遠いです。ノートパソコンにつなげているとなおさら遠く、それだけで非効率です。テンキー付きのキーボードは無駄に大きくなりますし、外付けでも無駄に荷物が増えます。

 電卓のスピードも必要ありません。計算・検算をするなら、Excelでやりましょう。複合機でコピーをするのは非効率で、スキャナーも同様です。スキャンはスマホでもできます。いわゆる「念のためコピー」は効率を損ないますので、やめましょう。

 FAXも使わないようにしましょう。今はパソコンで取り込むこともできるのですが、それならメールでいいはずです。

 効率化は、人間関係により左右されます。FAXを使う方(会社)とはお付き合いしないというのも1つの考え方です。

(本原稿は井ノ上陽一著『【インボイス対応版】ひとり社長の経理の基本』から一部抜粋したものです)