2016年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの奇跡』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。
人生相談の98%は、「相手を自分の思い通りにしたい」というもの
私のところへくる人生相談の98%は、「自分の理想や価値観に合わない人を、どうしたらいいか」といった、人間関係に関する相談です。
ですが、こうした質問は、「自分以外の人を、自分の思い通りにしたい」というもので、本質的な「相談ごと」ではないと、私は考えています。
ある70歳の女性から、次のような質問をいただきました。
「先日、94歳の母が、家を新築しました。母は、新居でひとり暮らしをしています。新築をする際、私は母に、『新しいシステムキッチンを入れたらどうか?』と提案したのですが、母は頑として聞かなくて、20年前の古いキッチンをいまだに使っているんです。母が死んだあとは、私がその家のキッチンを使うことになるので、新しいシステムキッチンを入れてほしかった。どうやって母を説得したらいいでしょうか?」
私が「誰の家ですか?」と尋ねると、彼女は、「母の家です」と答えました。次に私が、「誰がそのキッチンを使っているのですか?」と尋ねると、「母です」と答えました。彼女の返事を聞いたあとで、私は、こう言いました。
「それでは、あなたに関係ないではありませんか」
この女性は、「今までの70年間の人生を振り返ると、ありとあらゆる人間関係が大変だった」そうです。
それはそうでしょう。「どうしたら、自分のまわりの人間を自分の思い通りにできるか」だけを考えながら、「悩みだ」、「苦しみだ」、と騒いできたのですから。
子どもをどうしたいとか、誰かをどうしたいなど、「自分の思い通りにならない人をどうしたらいいか」、という話は、本質的な「相談ごと」ではありません。
講演会のあと、40歳くらいの女性から質問をいただいたことがあります。
「叔父夫婦が、2人ともガンになってしまいました。叔父は眼科、叔母は内科なので、週にいくつも病院を往復しなくてはいけません。しかも、叔父夫婦は仲が悪く、2人は顔を合わせないようにと、あえて別々の病院に通っています。2人はいつも怒鳴り合っているので、穏やかな瞬間がありません。この2人はどう見ても幸せには見えないので、なんとか2人を幸せにしてあげたいんです。私はどうしたらいいでしょうか?」
私の答えは、こうです。
「私に相談にきたあなた自身が、講演会の間も、その後の2次会でも、一度も笑っていませんでしたね?」そして、さらにこう言いました。
「あなたは、今、幸せなんですか?」
するとこの女性は、「いいえ」と答えました。
「では、叔父さん夫婦の幸せを考える前に、まず、自分の幸せを考えましょう」
この女性は、自分が幸せになってもいないのに、叔父夫婦を幸せにしてあげようと思う人でした。
「自分が幸せでないのに、他人の幸せを考えても、その人たちを、より幸せから遠ざけてしまう」かもしれません。
「自分以外のものを自分の思い通りにする」という考え方を全部やめる。人のことは気にせずに、まず自分が幸せになることを考える。
自分以外の人を自分の思い通りにするより、丸ごと受け入れてしまう(起こってきたことに感謝する)ほうが、人生はラクになると思います。