勉強して身に付くことには、大きく2つの種類があります。一つは「知識」。もう一つは「スキル」です。
「知識」とは、暗記したり、理解したりして身につけていくもの。一方で、「英語を速く読む」「計算をすばやく正確にする」などのような「スキル」はトレーニングによって習得する必要があります。この2つは鍛え方が違うのです。たとえば、数学の応用問題を解くとします。微分や積分などは、計算のスキルです。微分や積分は、やり方を知っていて、ゆっくり時間をかけてもいいのなら、できる人も多いでしょう。
ですが、実際には、問題を時間内に解くためには、スピードも重要です。そのために「スキル」が必要なのです。スキルがなく、計算に負荷がかかりすぎると、問題はなかなか解けません。計算に必死で、問題の全体像を忘れてしまい、ロジックもわからなくなってくるでしょう。数学の応用問題を解くには、複数の知識を組み合わせて、ロジックを立てないといけません。そこに脳のリソースを可能な限り割くようにしないといけない。
だから、その前段階の「この公式はどう使うのか」「この数式はどうやって解くのか」といったところは、半自動化できるぐらいまでトレーニングしておく必要があります。
「微分や積分なら、もう知ってるよ」という人でも、それを半自動的にこなすスキルが足りないから、その先の難しい問題でつまずいている可能性があります。ちなみに塾を作ったときから、うちのコンセプトは「教えるな、鍛えろ」です。知識だけあってもダメで、スキルを鍛えないといけない。
英語でいうなら「英語の知識」だけをたくさん身につけても、試験の点数は、ほとんど上がりません。ただの「英語ものしり」になるだけです。知識があるだけでは「だから何?」という状態。知識を生かして英語を素早く読んだり、聞いたり、それを受けて話したりするために、どうトレーニングするかが大切です。英語のYouTubeを2時間ぐらい見て「あ~、今日は2時間も勉強したな」と満足して寝てしまったら、絶対に成績は上がりません。英語は「実技科目」です。知識だけ入れたってしょうがないのです。
「知識とスキルは違う」
これを知っているだけで、勉強に対する解像度はぐんと上がります。あなたは今、知識を身につけているのか?スキルを身につけているのか?これを認識した上で勉強すると、思考がクリアになっていきます。