メイン試乗車は最上級グレードのルキシオン。上級モデルからの乗り換えを想定した仕様で、プロパイロット2.0を標準装備し、インテリアは専用の上級仕様。ただし、売れ筋のハイウェイスターV(368万6100円)との外見の違いは、テールゲートにバッジが付くことと、ヘッドライトわきのフィニッシャーが黒ではなくグレーになる程度だ。

 室内は広く、快適である。質感の高いインパネは、ディスプレイにe-POWERに必要な情報が得られるようになっている以外は、新採用のボタン式シフトセレクターを含め、ガソリン車と同じ。なお、e-POWERの運転席と助手席の間にはコンソール(ルキシオンは大型)が設けられている。ルキシオンの2列目シートはキャプテン形状の7名乗り仕様。新型のe-POWERは、ルキシオン以外なら8名乗りが選べる。100VのAC電源(1500W)が用意されるのも朗報だ。

まるでBEVのような洗練と力強さを実感
静粛でスタビリティの高いクルージングが魅力

 新世代のe-POWERがいかに進化しているかは、走り出してすぐにわかる。従来は最初からエンジンがかかっていたが、新型はなかなか始動しない。まるでEVのように力強く、スムーズに走る。ミニバンのセレナは重量が重いので、本来はエンジンがかかる比率が高くなるはず。それがあまりかからないのだ。

 これには、車両状態や走行環境に加え、ナビと連携しながらエンジン作動タイミングを制御する世界初のエネルギーマネジメント技術が効いている。新型e-POWERは、エンジンの作動頻度が低減されている点にまず好感を抱いた。

 ドライブフィールは、これまでにも増して静かで滑らか。しかも力強くなっている。リニアなアクセルレスポンスにより車速を意のままにコントロールできて、乗りやすさに磨きがかかっている。

 しかもエンジンが始動してもあまり気にならない。エンジンのケース剛性を高め、新たにバランサーを採用した効果で作動音自体が低く抑えられている。エンジンの停止と再始動もよりスムーズになって、いつ切り替わったのかわからないほどだった。

 静粛性はハイレベルだ。メーカーが「フロントのウインドシールドとサイドウィンドウを遮音ガラスにするなど、車体の遮音性能を高めた」というとおり、車外と隔てられたような感覚になっている。後席の乗員とも会話しやすい静かな車内空間は、プレミアムミニバンと表現してもいい。高い静粛性は、高速道路を走行中に周囲を車両が通過したときにも実感した。

 パワーも十分。高速道路で再加速を試みたときに従来型のような非力な印象はない。スペックのとおり動力性能が向上している。そして伸び感が気持ちいい。従来型はスロットルが半開き程度でも全開になるように設定され、感覚としては早々に頭打ちになる印象があった。それが新型では見直され、リニアな特性になっている。