過去の影響から抜け出すために
必要な「気づき」と「納得」
この事実に気づいたIさんは、「子どもの頃の経験から自分の意見を言うのは良くないと思い込んでいただけで、自分の意見を言うことは悪いことではない」ということに納得しました。
新しい気づきを得たIさんは、「これが食べたい」「私はこっちがいいと思う」など、小さなことから自分の意見を伝えることに挑戦するようになりました。
そして、自分の意見を伝えても、必ずしも人が怒ったり悲しんだりするわけではない、ということを学んでいったのです。
このように過去の何がどう影響を与えているのかについて気づき、納得することは、その影響から抜け出すための大きな一歩となります。
誰かを楽しませたい、喜ばせたいと思うことそのものは、素敵なことです。ですがその思いがあまりに強くなりすぎると、自分自身を苦しめてしまいます。
だからこそ、相手を喜ばせる、相手を楽しませるということを標準装備にせず、オプションとして使えるようにしていきましょう。
相手を喜ばせることは最低条件でもなければ、当たり前のことでもありません。
相手を喜ばせるようなことを言わなくてもいいということを知り、そのうえで、相手を喜ばせられなくても大丈夫と自分自身に許可を出すことが大切です。
あなたを生きづらくさせている過去の思い込みは、あなたが自分らしく生きていくための新しい価値観に書き換えていきましょう。
精神科クリニックに併設のカウンセリングルームで10年以上、心理カウンセラーとして勤務した後、独立。現在は人間関係、親子問題、機能不全家族専門カウンセラーとしてメールでのカウンセリングを中心に活動。メールでのカウンセリング、対面カウンセリングともにいつも予約がいっぱいで、現在も数か月待ちの超人気カウンセラー。
著書に『あなたはもう、自分のために生きていい』(ダイヤモンド社)などがある。X(旧Twitter) @Poche77085714
※本稿は、Poche著『悪いのは、あなたじゃない』(ダイヤモンド社)から再構成したものです。