トップバリュベストプライスの「焼肉のたれ」は
エバラの「焼肉のたれ」と同じくらい上質で安い!

 今のPB商品ブームは、2007年頃からイオンとセブン&アイがほぼ同時期にPB開発の強化を始めて以降、続いています。以前のブーム終焉の反省から、商品開発には最初から大手メーカーと組むことで、「品質重視のPB商品」というブランドイメージを確立することができたのです。

 このコンセプトがPB商品の中核カテゴリーとなっていて、現在のPB商品の成長を支えています。結果として安さを訴求する四つ目のPBカテゴリーは位置付け的に微妙な存在になっています。端的に言えば「過去、否定してきた商品カテゴリーではあるけれども、値上げラッシュで生活が苦しくなる中で必要な商品カテゴリーでもある」という位置付けなのです。

 実はこの4つ目のカテゴリー、1990年代に失速した「わけあって安い」PBとは違い、商品性能ではメーカー品と遜色はありません。具体例でお話ししましょう。

 イオンPBの4つ目のカテゴリーにあたるトップバリュベストプライスの「焼肉のたれ」は、エバラが製造しています。実は個人的にエバラの「焼肉のたれ」が好きで、ワンランク上の「黄金の味」という商品よりも通常の「焼肉のたれ」を好んで使っています。その観点で断言しますが、トップバリュベストプライスの「焼肉のたれ」はエバラの「焼肉のたれ」と違いがわからないほど上質に作られています。それでいて価格は実質的にかなり安い(トップバリュベストプライスのほうが容量は多いのにエバラと同水準の価格)のです。

 同様にトップバリュベストプライスのカップ麺は、定番のしょうゆ味、カレー味、シーフード味が、ともに日清食品の子会社である明星食品が製造しています。スープの味は日清食品の「カップヌードル」の“ジェネリック”といっていいほど酷似しています。ただ若干、麺の歯ごたえや具材の量に違いがあるように感じます。意図的に同じにならないようにコントロールしているのかもしれません。

 このように四つ目のカテゴリーのPB商品は、安かろう悪かろうではなく、「ほぼメーカー品」という感じです。が、それでも私はこのカテゴリーが大きく拡大することはないと見ています。理由は、小売りから見た位置づけです。