日本のPB商品の元祖といえば
ダイエー「わけあって安い」

 まず経済環境を確認すると、インフレ基調、値上げ基調はこの先まだ長く続きそうです。インフレは今、世界的な経済問題ですが、日本の場合、日本銀行の金利政策の影響で円安が長期化しそうです。目先では小麦価格が下がりますが、食料品だけでなくそれを加工するためのエネルギーも輸入に頼っているわが国全体では、値上げ基調が長く続くと予測されます。

 一方で、政府や経済団体の努力で今年の春から夏にかけて久しぶりに大きな賃上げが実現しました。わたしたち消費者の懐具合がそれで多少でも良くなる効果はあるのですが、残念ながら物価上昇との相対で決まる実質賃金は16カ月連続でマイナスです。

 そうなると消費者は節約を重視せざるを得ず、割安な商品に買い物をシフトします。そのため、価格を抑えた四つ目のカテゴリーのPB商品が増加するのではないかと思うでしょう。ところが、状況はそうではありません。

 もともとわが国のPB商品は、この4つ目のカテゴリーから発展しました。日本のPB商品の元祖といえば、そう、ダイエーです。ダイエーは1978年に「ノーブランド商品」というブランド名のPB商品を発表し、やがて節約を意味する「セービング」との二本立てになりました。

 当時は「わけあって安い」がPBのキャッチフレーズで、メーカー品のマヨネーズと違いPBでは卵黄だけでなく卵白も使用することで値段を抑え、メーカー品のかつお節と違い工場で捨てるような端の部分まで使うことでお得感をアピールしてきました。

 この価格訴求型のPB商品は、バブル崩壊後の日本で一定のブームにはなるのですが、すぐにブームは終焉(しゅうえん)します。要するに、安ければいいという消費者は一定数しかおらず、世の中の大半の消費者はメーカー品を好んだのです。