成人の1日の水摂取量、基準は?
水は1日どの程度飲めばよいのでしょうか?一般的には、「水分補給として1日1.5リットル程度」が推奨されています。
「毎日グラス6~8杯分程度の水分が必要である」と、いう英国の国民健康保険サービス(NHS)の考えに、運動栄養学ヒル博士も同意しています。ただし、なにも「水」だけでその量を補給しなければならないという話ではありません。紅茶、コーヒー、ミルク、そして無糖であればどんな飲料でも良いというのです。
「フルーツジュースやスムージーなども脱水症状の予防に役立ちますが、150ミリリットル程度に留めておくべき」というのが、ヒル博士の意見です。その理由は、「(フルーツジュースやスムージーの場合)含まれる糖分が多いわりに、実際にフルーツを食べることで得られるであろう食物繊維などが乏しくなる傾向があるからです」とのこと。
毎日グラス6~8杯という分量は、あくまでも目標として目安とすべき数字です。気温の高い日や運動量の多い日などには、より大量の水を飲む必要があるでしょう。「ただし、個々人によって適量が異なるため、自分に適した水分補給の方法や量については、よく観察したうえで見極めるべきです」と、いうのがヒル博士の考えです。
「例えばジムで同じようなトレーニングをしているのに、人によって発汗量が異なることに気づいたことはないでしょうか?つまり、同じ条件下であっても人によって必要となる水分量は異なるということです」と、ヒル博士は補足します。
欧米の研究によると水の必要摂取量の目安は…、
・(デスクワークなど)生活活動レベルが低い集団: 1日2.3リットル~2.5 リットル程度
・(運動をする人やスポーツ選手など)生活活動レベルが高い集団:1日3.3リットル~3.5 リットル程度
…と提唱しています。また、水の摂取源としては欧米諸国では食物由来がおよそ20%~30%、残りが飲物で70%~80%であることから、水分補給として1日1.5リットルの水を飲むべきであるとされています。
日本人成人の場合は?
日本人成人の水の摂取源の割合に関してはどうでしょう。和食の献立が主であると考えるなら、和食は水分含量が高い食事であるため、食物由来からの摂取割合が欧米諸国よりも異なる可能性が予想できます。
ですが、いまのところ水の摂取量および水の摂取源について、日本人を対象とした高い研究は少ないのが現状です。
また、水の必要量を性・年齢・身体活動レベル別に算定するための科学的根拠はいまだ十分には整っていないため、今後の研究が進むことが期待されています。