ファンフェスタで感じた
マルチソリューションの真意

 マツダは22年11月、「中期経営計画のアップデートおよび2030年の経営方針」を発表した。

 その中で、電動化戦略について、「フェーズ1」(22~24年):電動化に向けた開発強化、「フェーズ2」(25~27年):電動化へのトランジット、そして「フェーズ3」(28~30年):バッテリーEV本格導入と設定し、30年時点での自社EV比率を25~40%とかなり幅を持たせた目標を掲げている。

 背景には、アメリカのIRA(インフレ抑制法)に代表される、政治主導で経済安全保障を重視した、電動車に対する投資奨励策が今後、どのように変化するのか先読みできないという事情がある。

 一方で、ユーザーの視点では、現状で市場にはガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車が数多く存在する中で、政策主導で一気にEV化が進むことに違和感があるように思う。

 そうなると、マツダが言うパワートレインのマルチソリューションは、グローバルはもとより日本市場でも現実解なのではないか。

 なかでも、ライトウエイトスポーツカー「ロードスター」については、どのタイミングで電動化するのか、ロードスターファンの多くが注目している。

マツダ「ロードスター」の軽量化モデル「990S」を試乗した際の海辺の様子マツダ「ロードスター」の軽量化モデル「990S」を試乗した際の海辺の様子 Photo by K.M.

 こうしたマツダの一連の動きを見ていく中で、23年9月17日に「MAZDA FAN FESTA 2023 at FUJI SPEEDWAY」を取材した。

 気温30℃を超える中、前売り券1万2000枚は発売して間もなく完売。当日の入場者は1万4000人。

 メインコースでは、ルマン優勝の「787B」を先頭に、マツダ役員らの操る歴代「ロードスター」のパレードや、マツダ主催のマツダ耐久レースが実施され、毛籠CEOもロードスターでレースに参戦した。

 ピットビルの2階と3階には、「秋田犬ふれあいコーナー」「電動RCカー運転体験会」「グランツーリスモブース」「KIDSペーパークラフト体験」「KIDSプログラマー体験」「KIDS デザイナー/モデラー体験」など家族で楽しめるアトラクションを用意した。

 また、女性向けには、プロがヘアアレンジをしてくれる「マツダBeauTEAサロン」や「シュウ ウエムラ氏のメイクアップ体験ブースと講演」など盛りだくさんの内容だ。

 また、ピットビル1階には、往年のマツダ車をゆっくり見られる「マツダミュージアムin FUJI」や「歴代マツダレーシングカー展示」、そして子どもたちがマツダのエンジニア体験を行えるコーナーなども人気が高かった。

「なりきりエンジニア体験」に参加する子どもたち「なりきりエンジニア体験」に参加する子どもたち Photo by K.M.

 そのほか、マツダ販売各社やカスタムパーツメーカー各社がブース出展したり、「コスモスポーツ」や「ロードスター」のファンクラブが集まる様子もあった。

「人とマツダ」との絆を強める方法はさまざまある。これぞマツダのマルチソリューションではないか、とマツダファンフェスタの現場で感じた。