歴史小説の主人公は、過去の歴史を案内してくれる水先案内人のようなもの。面白い・好きな案内人を見つけられれば、歴史の世界にどっぷりつかり、そこから人生に必要なさまざまなものを吸収できる。水先案内人が魅力的かどうかは、歴史小説家の腕次第。つまり、自分にあった作家の作品を読むことが、歴史から教養を身につける最良の手段といえる。
直木賞作家・今村翔吾初のビジネス書『教養としての歴史小説』
(ダイヤモンド社)では、教養という視点から歴史小説について語っている。小学5年生で歴史小説と出会い、ひたすら歴史小説を読み込む青春時代を送ってきた著者は、20代までダンス・インストラクターとして活動。30歳のときに一念発起して、埋蔵文化財の発掘調査員をしながら歴史小説家を目指したという異色の作家が、歴史小説マニアの視点から、歴史小説という文芸ジャンルについて掘り下げるだけでなく、小説から得られる教養の中身おすすめの作品まで、さまざまな角度から縦横無尽に語り尽くす。
※本稿は、『教養としての歴史小説』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

【直木賞作家が教える】<br />人生に立ちはだかる壁を乗り越える最良の方法Photo: Adobe Stock

タイパを追いすぎないで

【前回】からの続き 知の基礎体力をつけた人は、30代、40代、50代以降になっても直面した壁をなんとか乗り越えられるようになります。

つまり、学びに費やした時間は、後からいくらでも回収できるのです。

ですから、目先の5分、10分を惜しまないほうがいいです。

何歳からでも遅いことはない

若い人ほど「急がば回れ」の精神で歴史小説に触れてほしい。

もちろん、何歳からでも学ぶのに遅いことはありません。

60歳から歴史小説を読み始めても大丈夫です。

積み重ねによる圧倒的教養

今は紙の本だけでなく、電子書籍オーディオブックでも読書ができる時代です。

トイレでもお風呂でも、寝る前にたとえ10分でも本を読む習慣をつけ、それを積み重ねれば5年、10年後に、圧倒的な教養が身につくはずです。

分厚い本でも意外とイケる

分厚い作品を手にしても、何も恐れる必要はありません。

面白い作品なら、本当にあっという間に読み終わります。むしろ、読み終わるのが悲しいと思うくらいです。

とにかく騙されたと思って、まずは歴史小説を手にとってみてください。

※本稿は、『教養としての歴史小説』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。