加えて約20年前に登場したのが、墓石の代わりに花木を植える「樹木葬」である。当初は里山保全がアピールされたこともあり、地方や郊外のお寺で見られたが、ここ数年で様変わりした。都市部のお寺で盛んに見かけるようになったのが、墓地の空きスペースなどを利用した「庭園風の樹木葬」だ。近年開設した都内の寺院の例をあげると、芝生や花木の植え込みの間に埋葬し、利用者の名前を刻んだ石板プレートを設置するタイプ。同寺の住職は「流行なのでしょうか。開設一年余で9割売れた。第二期の造成を予定しています」と明かす。
さらにここに来て、永代供養墓、樹木葬に続く「第3のお墓」が注目されている。動き出した40代の僧侶の取り組みを見よう。
お墓を持ちたい期間は十数年?
月額3980円のサブスク墓も
東京都台東区にある浄土宗長壽院は今春、お寺の新たな試みとして境内に「のうこつぼ」を開いた。同施設は、株式会社のうこつぼ(東京本社・目黒区)が寺院向けに展開しているもので、長壽院のものは写真の形式だ。北川琢也住職(48歳)はこう説明する。
「当寺の『のうこつぼ』はお墓ではなく、お骨をお預かりする『預骨(よこつ)』施設です。一区画につき利用料は一括前払いの40万円から60万円。また一部ですがサブスク形式で月額3980円でのご利用も選べます。骨つぼではなく袋に移し替えての利用でしたら一区画に4霊まで納骨できます。ペットと一緒に入ることも可能です」
預かり年数は利用者の希望次第。利用料とは別に「護持費」として年間1万円を支払う限り、使い続けることができる。サブスク形式は護持費不要だ。使用区画には家名や家紋を刻んだプレート(税込み3万3000円)を設置でき、共用部分では従来の一般墓と同じように花を供えたり、お線香をあげたりすることも可能だ。いわば伝統的なお墓の形式を持つ納骨用レンタルスペースといえる。