新ルールを適用すれば
自治体の予算は一気に増える
新しいルールでは返礼品の送料や寄付金受領証の送付コスト、それらに付随する事務コスト、ふるさと納税ポータルサイトに支払う経費などすべてを含めて50%以下にしなさいというのがルールです。
考え方としては非常にわかりやすく、ここをきちんとやれば年間1兆円のふるさと納税受け入れ額のうち半分の5000億円は自治体の予算として有効活用できるようになるのです。
「でも残り5000億円はもともと納税されていたはずのお金が、官製通販で使われてしまうのでは、トータルではお金が減ってしまうんじゃないの?」という疑問がわくかもしれません。
ここがふるさと納税の仕組みがうまくできているところです。
納税者から見れば無料で送られてくる形の返礼品3000億円分は、これまで存在していなかった新しい消費需要創出なのです。
要するにふるさと納税制度ができたおかげで、地元のかつお節とかアジの干物とか蒲鉾(かまぼこ)がそれまでなじみがなかった都会の消費者に通販の形で届けられるようになったことで、地元では日本全国で合計して3000億円分の新しい売り上げが発生するようになったわけです。
そしてここが重要な点なのですが、その3000億円の売り上げで地元のひとたちの懐が潤うと、そのお金で新しい設備を買ったり、その利益で飲み歩いたりすることができるようになります。これを経済学では乗数効果といってたとえばその経済効果が2.5倍になったりします。
その前提で計算をすると(あくまで仮定の下の計算ではありますが)返礼品需要が生んだ経済効果が7500億円、地元の自治体に寄付された税金が5000億円で、1兆円のふるさと納税が合計1兆2500億円になって地元を潤してくれることになります。実にうまくできた制度ではないでしょうか。