仮に一般利用者の3割でも優先マークを認知し、その通りに行動しているのだとしたら、譲られることがほとんどないというのはありえないだろう。多くの人は優先マークを知らないから譲らないのではなく、優先使用の原則を知っていながら目をつぶっているのである。
東京メトロからの
情けない回答
さしみちゃんへの取材を踏まえ、筆者は「古巣」である東京メトロに優先使用の考え方について見解を求めた。しかし、その回答が失望というか、脱力というか、悲しくなるような内容なので、質問文も含めて原文のまま引用する。
Q エレベーターが唯一の移動手段である障害者、ベビーカー利用者たちが、順番を譲られなかったり、抜かされたり、長い時間待たされるなど、必要な時に利用できずに困っている実情についてどう考えていますか。
A 一部の駅や時間帯においては、すぐにエレベーターをご利用できず、お待ちいただいている状況があることは認識しております。また、エレベーターをご利用の際、お客様同士による譲り合いなど、ご配慮によるご利用をお願いしており、ポスター掲示やキャンペーン等による啓発を行っております 。
この後の質問に対する回答も「周知」「お願い」「啓発活動の強化」を繰り返すばかりなので省く。広報の実務経験がある筆者には、社の公式見解、決定事項以上のことを言えない立場であることは理解するが、あまりにも情けない。
これを象徴するのが、明治神宮前駅のエレベーターだ。
Q 先日、明治神宮前駅のエレベーター口(副都心線側)を見てきましたが、地上・地下ともエレベーター周辺に何枚もの「優先使用のお願い」のポスターが貼ってあります。これだけ呼びかけても効果がないことについて、どうお考えでしょうか。
A 啓発活動を強化するなど対策を検討してまいります。