問題ある団体と理解した上で
付き合ってきた政治家たち

――90年代などは合同結婚式などが問題になり、旧統一教会はたくさん報道されましたが、それ以降は安倍元首相が銃撃されるまで、メディアはほとんど旧統一教会の話題を扱いませんでした。この間、自民党の政治家はどの程度、旧統一教会と付き合っていたのでしょうか?

 政治家たちは秘密裏に教団と付き合っていました。安倍元首相が銃撃された事件の後に、教団が政治家を広告塔に使ってきた、といった報道が見られましたが、それは間違いです。教団側は政治家を広告塔としては一切使ってきませんでした。

 ネット配信している教団の出版物でも「国会議員の挨拶」などの事実は記載されていても、挨拶した政治家の個人名は記載されない。これはつまり、自分たちと関係があることが知れると、国会議員の先生たちに迷惑がかかる。自分たちが外聞の悪い存在だという自覚が教団側にあるのです。

 では、いったい何のために国会議員とつながりを持とうとするのか。高額献金を課せられた信者たちが、教団の在り方に疑問を感じて離れようとしても、こんなに偉い先生がイベントに出席して礼賛している。「やはりちゃんとした団体なのだ」と思わせる。つまり、内部統制の手段として使ってきたのです。

 政治家の側からすると、後援会を作ってくれたり、選挙活動を手伝ってくれたり、無償で秘書を派遣してくれたりする。非常に便利な存在です。見返りに教団イベントに参加したり、祝電を送ったりするけれど、政治家の活動報告を見ても、教団のイベントに参加した部分だけはすっぽり抜け落ちている。政治家たちは明らかに問題のある団体だと理解した上で付き合ってきたのです。

 ところが、2017年頃から政治家との関係が露見しても問題ないだろうと教団側のタガが緩み始めました。教団はこの時期から自分たちのイベントをネット配信するようになり、我々のような信者ではない者でもその内容を見ることができるようになりました。

 配信内容を見ることができるURLは、教団の韓国のウェブサイトなどに掲載されていたので、私もそういったところからアクセスしてイベントの模様を見て、問題のある部分に関して記事を書くこともありました。山本朋広(衆議院議員)の「マザームーン」発言などは、そうした中で見つけることができたものです。

 それ以前は、教団イベントの内容を配信するときに、政治家が出てくる部分はカットしていたのですが、逢沢一郎(衆議院議員)や柳本卓治(元参議院議員)といった教団に近しい政治家に関しては、教団のネットニュースなどにも少し顔が映ることがありました。