圧倒的な登録ユーザー数と経済圏を確保し、猛烈な勢いで拡大を続けるPayPay(ペイペイ)。メガバンク3行の“反撃”も、どこ吹く風だ。むしろ、PayPayはメガバンクからさらに縄張りを奪おうと虎視眈々と準備を進めている。特集『銀行リテール 最後の決戦』(全6回)の#4では、次の一手を探った。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)
ユーザー数でメガを圧倒する
PayPay、楽天グループ
新たな個人向け金融サービスの開発を競うように進めているメガバンク3行。今のところ、スマートフォン上で銀行口座残高やクレジットカードの利用状況、キャッシュレス決済、共通ポイント残高などを一元管理できる三井住友フィナンシャルグループ(FG)の「Olive(オリーブ)」が、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)とみずほフィナンシャルグループ(FG)を一歩リードしている(本特集#1『三井住友FG「オリーブ」の野望と死角、新個人向け金融サービスの命運を握る“最後のピース”とは?』参照)。
オリーブは証券会社や生命保険会社などとの提携も進めているため、にわかにその動向が金融業界全体の注目の的となっているが、高みの見物とばかりに静観している企業もいる。近年、金融事業を強化してきた楽天グループやPayPay(ペイペイ)などのプラットフォーマーだ。
それもそのはず、楽天グループは月間アクティブユーザー数約4000万人、PayPayは登録ユーザー数6000万人超で、オリーブのアカウント数はまだ100万人。経済圏には大きな差があるのだ。
誰もがスマートフォンを持つようになった2010年代以降、銀行が担ってきた個人向け金融サービスは、楽天グループやPayPayなどのプラットフォーマーが、より便利で簡単なサービスを開発して、提供するようになった。オリーブの力の入れようから分かるように、メガバンク3行はその役割を取り戻そうとしているが、プラットフォーマーは意に介さない。
むしろ今、さらに銀行の縄張りを奪い取ろうと準備を進めている。次ページではPayPayの次の一手にフォーカスして解説していく。