「あの人なんであんなことを言ってきたんだろう」「この仕事、終わらなかったらどうしよう……」など、寝ようとするといろいろな考えが頭の中にわいてしまって眠れないことはないだろうか。そんな、早く眠りたいのに、グルグル思考が止まらない人におすすめなのが、『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』(大嶋信頼著)だ。多数の著作を持つ人気心理カウンセラーの大嶋信頼氏の本作では、心理学的なアプローチによって、働きすぎている意識をストップし、読むだけで眠くなるメソッドを多数紹介。「2ページ読んだだけで眠れた」「ストレスが消えた」「自己肯定感が高まった」などの感想が多数寄せられている本書。今回は発売を記念して、本書から特別に一部抜粋、再編集して「眠くなる方法」を紹介する。(構成/照宮遼子)

本当は眠りたいのに…。寝る前にグルグル思考が止まらなくなる理由Photo: Adobe Stock

ストレスを消したくて、夜中に動画を見続けてしまう…

ある日、大嶋氏が職場の会議で発言すると、重箱の隅をつつくような質問をしてきて、場の空気を悪くさせる人がいた。

その日寝ようとしても、「なんであの人、みんなの前で私に恥をかかせるようなことを言ってきたんだろう?」という思いが止まらず、「こんな薄汚れた気持ちでは眠れない」と、寝る時間をムダにしていると思いながらも、動画を見ることをやめられなかった。

「他の人が悩まないようなことを気にしてしまっている」

そう思うと、自分の精神的なダメージは誰も理解してくれないと感じ、そのストレスを発散させようと、ますます動画やゲームに没頭するようになってしまうのだ。

そして、早く寝なければと焦れば焦るほど、過去に失敗した場面が次から次へと思い出され、ますます眠れなくなるという悪循環に陥る。

「強すぎる責任感」が睡眠を阻害していた

そんなある日、大嶋氏は精神科の先生から、「眠れないのは責任感が強すぎるせいだ」と言われ、衝撃を受ける。

先生によると、過剰な責任感のせいで、いつまでもやるべきことができなかったり、その重圧からますます考え続けて眠れなくなってしまったりしてしまうとのことだ。

自分を振り返ってみると、たしかにどうでもいい仕事ほどすぐできるのに、ちゃんとやらなければと思う仕事ほど先送りする傾向にあったことに気づいた。

責任感がある人であれば嫌味など受け流して、仕事をこなし、夜はぐっすり眠れるはずではないか。

また、すべてを他人のせいにして、そのことで頭がいっぱいになり眠れなくなってしまうのは、自分が無責任だからではないか、という疑問が出てくるかもしれない。

しかし、「相手の不快な言動の原因は自分にある」と責任を感じてしまうからこそ、相手の気持ちを考え続け、眠れなくなってしまうのだ。

そして、すぐに人のせいにしてしまうのは「責任の重圧を自分ひとりが感じていて、それを誰もわかってくれない」という気持ちの表れなのである。

自分の「責任感の強さ」を認めてあげよう

精神科の先生にアドバイスしてもらってから、自分を不快にさせる人が頭に浮かんでも、「私はこの人の感情の責任を取っているんだ」と気づけるようになり、不思議とその人が頭の中から消えていくようになった。

しかし、今度は、依頼された仕事をちゃんと期限通りに終わらせられるのか、という不安が頭の中にわいてきて、「これがまさしく責任感か!」と自分の責任感の強さを実感することになったという。

寝ているときまで仕事のことを考えてしまう自分の責任感の強さを認めてあげると、いつの間にか責任感は去っていくものだ。

すると、仕事や不安なことをいっさい考えないようになることができ、いつの間にか深い眠りの中に入っていけるのである。

(*本稿は『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』より一部抜粋、再編集したものです)