「群れたくない。ここは自分がいるべき組織ではない。そういう口グセの人は仕事ができない」
そう語るのは、これまで4000社以上の導入実績がある組織コンサルタントである株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏だ。「会社員人生が変わった」「誰も言ってくれないことが書いてある」と話題の著書『とにかく仕組み化』では、メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理などで悩むリーダーたちに、仕組み化のメリットを説いた。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「できる上司」になるためのマネジメント方法を解説する。(構成/種岡 健)
目標を掲げることの「恥ずかしさ」
日本人は、やる気を見せることが恥ずかしいと思う文化があります。
「私は出世がしたいです」
「私は年収を1000万円稼ぎたいです」
など、やる気を見せるような目標を人前で言うことがほとんどありません。
有言実行することにはリスクがありますし、どんなシチュエーションでも言い出しっぺは恥ずかしい。
それと同様に、自分が働いている会社の「企業理念」を堂々と口にすることはありません。
それをやると周囲からは「意識高い系だ」とバカにされます。
たしかに私も、「意識が高いだけ」なのはダメだと思います。
しかし、そこに行動が伴っていて、目標に向かって努力しているのなら、悪く言うことではありません。
「群れたくない」という感情のこじらせ
私たちは、集団や組織に所属しています。
そこでは、「群れないポジション」をとることが、カッコよく見えます。
「みんなは○○だけど、私だけは△△だ」
と、ルールを無視したり、枠にとらわれない生き方をしたりしている人に憧れてしまいます。
一方で、組織に組み込まれて生きている人は、「悪者」とされがちです。
ドラマやアニメ、映画などでは、「正義感のある個人 VS 悪の組織」という構図で描かれます。
そのほうが、見ている人が感情移入しやすいからです。
自分が理不尽だと思い込んでいることを、主人公が組織に向けて突きつける。
その姿に憧れるのです。
しかし、現実は違います。
悪意を持って組織された集団なんて、物語によって作り上げられた一部のものです。
きちんと企業理念を持って、社会に向けて貢献している企業で働いているのに、「ここは自分がいるべき組織ではない」と言っていることのほうがダサいのです。
何度も述べるように、1人の人間は弱い。
でも、たくさんの人が集まった集団では大きなことが成し遂げられる。
そんな組織の中でしか、「自己実現」なんて、できやしないのです。
(本稿は、『とにかく仕組み化』より一部を抜粋・編集したものです)