折しもバブル景気の入口で、経済活動の拡大はビジネス、レジャー需要の増加をもたらした。本当の「民営化効果」が発揮されるのは、これに応えて、駅の接遇や設備の改善、駅併設店舗の開発、新型車両の導入などのサービスアップが次々と形になってからのことだった。

 JR東日本の単体決算(連結は1990年度から公表)は下記に示す通りで、3年間で営業収益は2割近く、経常利益は倍近くに増加した。

年度/営業収益/営業利益/経常利益
1987年度 1兆5657億円/2964億円/766億円
1988年度 1兆6635億円/3232億円/856億円
1989年度 1兆7355億円/2811億円/1034億円
1990年度 1兆8516億円/2922億円/1496億円

政府は3度目の正直で
保有株式を売却

 政府は1985年10月の閣議決定「国鉄改革までの基本方針」で、「JR各社の経営基盤の確立等諸条件が整い次第、逐次株式処分し、できる限り早期に純民間会社に移行する」方針を決定。また1989年12月の閣議決定「日本国有鉄道清算事業団の債務の償還等に関する具体的処理方針について」では「遅くとも、平成3年度(1991年度)には処分を開始する方向で検討、準備を行う」旨が定められた。

 この背景にはバブル期の株価高騰があった。第二次臨時行政調査会に基づく行政改革では、電電公社が「日本電信電話株式会社等に関する法律」に基づく日本電信電話(NTT)、専売公社が「日本たばこ産業株式会社法」に基づく日本たばこ産業(JT)として民営化された。債務超過状態だった国鉄とは異なり、両社の経営は順調で、NTTは初年度から7577億円の営業利益を計上している。

 政府は1987年2月、NTT保有株式の8分の1にあたる195万株を売却。額面5万円のNTT株は、売り出し価格119万7000円だったが、あまりの人気に初日は値がつかなかった。2日目に160万円の初値が付くと、4月には318万円まで高騰したが、バブル崩壊後の1990年末には3分の1となる106万円まで下落した。