それでも消費税減税は次世代のためやった方がいい
よく言われることだが、消費税減税は、消費額の大きい金持ちには大きな恩恵をもたらして、庶民にはそれなりのお得感を味あわせてくれる。しかし、貧しい人に恩恵はほとんどない。食料品や生活用品がいつもより安く買えるだけで、低所得者の収入増にはまったくつながらないからだ。
「最低賃金引き上げ」は低所得者が平等にボトムアップされる。しかし、「消費税減税」は「消費すればするほど得をする」という格差のある施策なので、貧富の差を広げるだけなのだ。
ただ、個人的には、もうここまで政治家や世論が盛り上がっているのなら、思い切って5%くらいに下げてみたらいいのではないかという気もしてきている。
やけくそになっているわけではなく、次世代の日本人のためだ。
これまで述べたように、消費税減税は効果がない可能性が高い。ただ、こればっかりはやってみないとわからない部分もあるのも事実だ。
だから、1年でも2年でもやってみて、本当に賃金が上がるのか、日本が経済成長ができたのかをちゃんとデータを取って検証をするのだ。そこで「効果アリ」なら続ければいいし、「効果ゼロ」ならやめればいい。もちろん、社会保障財源なので失うものも大きい。悲惨な未来が待っているかもしれない。だが、得るものも大きいだろう。
一番大きいのは、我々の子どもや孫の世代の時に、今のように「消費税減税すれば景気回復だ」「いや、消費税減税なんて効果がない」なんて不毛な論争をしなくていいことだ。
これから日本は人口8000万とかの国になるだろう。そんな規模で何も決められない、何も変えられない政治を続けていたら、衰退しかしない。本当に効果のある政策をスピーディに選択していくためにも、この際、「消費税ゼロにしたら経済成長できる説」の真偽を徹底的に確かめておくのだ。それこそ、我々が次世代のために残すことができる「遺産」になるのではないか。
岸田首相、どうでしょう?ここまで支持率も下がったことだし、「やけくそメガネ」になって「消費税減税」に踏み切って歴史に名を残す、というのもひとつの手かもしれませんよ。
(ノンフィクションライター 窪田順生)