「自衛隊員が報道陣に中指立てた」事実と判明してもマスコミの“偏向報道”と感じるワケ写真はイメージです Photo:PIXTA

「自衛官が中指立てた」ニュースは偏向報道だと思うワケ

「またマスゴミの偏向報道だ!ついに日本を護る人たちまで攻撃し始めたぞ!」

 そんな風にネットやSNSで怒りを爆発していたみなさんは、さぞ気まずい感じになっていることだろう。木原稔防衛相が11月7日の記者会見でこんなことをおっしゃったからだ。

「射撃場に向かう車両の中で、外部に向かって中指を立てる不適切な行為を行った隊員がいたという指摘については、事実であるということを確認した」(毎日新聞11月7日)

 また、テレビ朝日の報道によれば、この中指を立てたのは20代の男性隊員で「軽い気持ちでやった」と行為を認めているという。

 そもそもこの話をご存じのない方に説明すると、発端はFNN系列の東海テレビの「独自」ニュースだった。岐阜市にある陸上自衛隊日野基本射撃場へと向かう車両に乗っていた自衛隊員が、報道陣に向かって中指を立てたと報じたのだ。

 ただ、その「証拠映像」がなんとも言えないビミョーな感じだった。言われてみれば確かに、ビニール製の窓の向こうで指のようにも見えなくもないが、はっきりと「中指を立てている」とわかるような映像ではない。しかも、現場の守山駐屯地の広報は、「指差し確認をしていたのがそのように見えてしまったのではないか」「背負っている荷物を下ろそうとしていたかもしれない」などと説明したことで、「マスゴミのねつ造」という説が一部で盛り上がっていたのだ。

 しかし、フタを開ければ、この報道は「事実」だったというわけだ。「マスゴミ許さねえ」と激烈に怒っていた人たちも、ばつが悪そう顔をして徐々にフェードアウトしていった。

 ただ、そういうカッコ悪いことになってしまった人たちを擁護するわけではないが、個人的にはこれは「偏向報道」と叩かれてしまってもしょうがないケースだと思っている。

 今回、中指を立てられたのが「マスコミ」だからだ。