令和6年11月24日に、東京都の公立中学校に通う中学生を対象に、「中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)」が実施される。近年の英語教育改革にともない、ますますスピーキング力に英語教育の重点が置かれるようになっている。中学英語を駆使してスピーキング力を鍛える1冊、『中学英語だけで面白いほど話せる!見たまま秒で言う英会話』では、「イラストを見る→見たままを英語にする」を繰り返すことで、日本語を介さずに瞬時に即答する「英語の反射神経」を鍛えることができる。実践的なスピーキング力を養うための最適な1冊だ。本稿では著者の森秀夫さん(麗澤大学外国語学部教授)に「英語スピーキング力向上の方法」について話を聞いた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
意外と難しい「中学校英語スピーキングテスト」
――令和6年11月24日に、東京都の公立中学校に通う中学生を対象に「中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)」が実施されますが、どのようなテストなのでしょうか?
森秀夫(以下、森):たとえば中学3年生を対象にしたテスト「ESAT-J YEAR 3」は、以下の4つのパートに分かれていて、それぞれ異なる出題形式で問題が出されます。
A:英文を読み上げる
B:質問を聞いて応答する/意図を伝える
C:ストーリーを英語で話す(4コマ)
D:自分の意見を述べる
――パートCの「ストーリーを英語で話す(4コマ)」はどのような問題なのでしょうか?
森:4コマ漫画が画面に表示され、ストーリーを英語で話すことが求められます。
例えば、次のような設問と合わせて、4コマ漫画が表示されます。
あなたは、留学生のカレンに先週の出来事を英語で説明しようとしています。1⃣のイラストに描かれた人物になったつもりで、相手に伝わるように英語で話してください。(中略)
この表現を最初に使って解答を始めてください。
Last week ……
(準備時間30秒間/解答時間40秒以内)
※設問の4コマ漫画は「ESAT-J YEAR 3 を紙上体験してみましょう!」で見ることができます。
出典:「【特設ページ】中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)」 東京都教育委員会
1コマ漫画から練習する
――4コマを説明する英文を30秒で考え、40秒以内に解答しなくてはいけないのですね。難易度が高いように感じますが、どのように練習すればよいでしょうか。
森:『中学英語だけで面白いほど話せる 見たまま秒で言う英会話』は、1コマ漫画を英語で説明するトレーニングです。
まずは1コマ漫画でトレーニングを行い、慣れてきたら1コマ漫画の前後を補ってストーリーを考えると良いトレーニングができます。
例えば、本書には次のような1コマ漫画を描写するクイズが74題あります。
Why does she always sleep in front of the poster?
どうして私のネコはいつもポスターの前で寝てるんだろう
解答例:
Maybe she wants to make friends with Big Bear in the poster.
たぶん、ポスターのビッグベアと友だちになりたいんだろう。
1コマ漫画のトレーニングに慣れてきた人は、この1コマ漫画を4コマ漫画に書き換えるとよいでしょう。
1.
I bought a poster of Big Bear.
私はBig Bearのポスターを買いました。
2.
After that, I put the poster on the wall.
その後、私はそのポスターを壁に貼りました。
3.
Then, my cat slept in front of the poster.
それから、私のネコはポスターの前で眠ってしまいました。
4.
She wanted to make friends with Big Bear.
ネコはBig Bearと友達になりたかったのでしょう。
AIを活用した英文作成
――4コマ漫画を説明するには、かなりの英語力が必要になりますね。
森:そうですね。最近では、ChatGPTのようなAIを英語学習に活用することができます。
1コマ漫画を4コマ漫画の内容に日本語で考えたら、「この日本語をsimple Englishで英語に直してください」と指示すると、簡潔な英語に直してくれます。
そこに、時間の流れを示す副詞(句)を効果的に加えると良いトレーニングができます。英文を作って安心しないで、作った英文で何十回も音読をして、スピーキング力を向上させてください。