人が次々辞めていく、上司と部下の会話がない、メンバーのモチベーションが上がらない――コロナ明け、チーム内コミュニケーションに悩んでいる人も多いかもしれない。そんな悩める人に話題となっているのが、北の達人コーポレーション(東証プライム上場)・木下勝寿社長の最新刊『チームX(エックス)――ストーリーで学ぶ1年で業績を13倍にしたチームのつくり方』だ。神田昌典氏は「世界的にみても極上レベルのビジネス書」と絶賛した。
これまでのシリーズ『売上最小化、利益最大化の法則』は「20年に一冊の本」と会計士から評され、『時間最短化、成果最大化の法則』はニトリ・似鳥会長と食べチョク・秋元代表から「2022年に読んだおすすめ3選」に選抜された。フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞、東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」1位となった木下社長だが、その裏には「絶頂から奈落の底へ」そして「1年でチーム業績を13倍にした」という知られざるV字回復のドラマがあった。しかもその立役者はZ世代のリーダーたち。本稿では『チームX』の一部を抜粋・編集しながら「勝てるチームの法則」を初めて公開する。

チームXPhoto: Adobe Stock

なぜ年商100億円企業となったのか?

「理論上達成可能な作戦」をいかに現実に落とし込んでいったか。

 私が起業した年の初月は、粗利が5000円くらいだった。

 シンプルなルールに従っていたので翌月は5000円以上使えなかった。

 起業当初は簡単なホームページ(HP)しかなかった。
 正直、きちんとしたものをつくりたかったし、注文がきたときの受注・発送処理を行うソフトも必要だった。

 だが月5000円しか使えないと外注できないので、HP制作も受注処理ソフトも書籍で勉強して自分でつくり上げた。

 当時はパソコンを使い始めて1年足らずのスキルしかなかったので大変だったが、こんな程度でルールは破れない

 また、商品を仕入れるお金もなかったので、商品が売れてお客様に代金をもらってから仕入元に払う契約にしてもらった。

「稼いだ以上に使わない」というルールでやっていると、自然に手元資金でできるやり方を工夫するようになる。

 ネットで販売しているとデータ計測が必須だが、当時はデータ計測ツールは月額何十万円もするサービスが主流だった。

 もちろんそんなお金はないのでネット上でいろいろ探すと、フリーランスプログラマーが同様のデータを計測できるプログラムを1万5000円程度で販売しているのが見つかり、それを導入した。

 いろいろ探せば、無料ソフトや通常の100分の1くらいの価格のものがたくさんある。

 そういったものを探していれば、事業をやるのに大したお金はかからないと思った。

なぜお金に困ったことがないのか?

 当社は創業以来、お金に困ったことがない

 それは「お金がある」からではなく、「お金をかけずにやる」習慣が身についているからだ。

 自力ですべてやると時間がかかる。
「時間をお金で買う」という考え方もあるが、それは資金力がある人がやることで、お金を借りてまでやるべきではない。

 私はすべて自分でやったことにより、多大な経験という資産を得た。

 当社では、独自のマーケティングシステムを自力で構築できるようになったし、独自の管理会計を生み出し、高収益企業になった。

 この他にも、「稼いだ以上に使わないルール」を破りたくなる出来事が多々起きたが、その都度工夫してなんとか乗り越えた。

 結果、無借金経営のまま100億円企業をつくることができた。

 私は、「それは現実的ではない」という言葉が一番嫌いだ。

「理論上達成可能な作戦」をいかに現実に落とし込んでいくかが仕事なのだ

(本稿は『チームX――ストーリーで学ぶ1年で業績を13倍にしたチームのつくり方』の一部を抜粋・編集したものです)