2030年問題の本質は“お金がかかりすぎる”こと
一生住むための物件ではないのかもしれない
では、タワマンの2030年問題とはいったい何なのでしょうか。
もし、管理運営がしっかりしているタワマンに住むことについても未来に大きな問題が起きるとしたら、それを一言で指摘すると、「タワマンの方がずっと多くのお金がかかるのだ」という問題に収束する話だろうと私は捉えています。
考えてみれば当たり前のことですが、都心の利便性の良い一等地に、オフィスビルと見まがうかのように林立するタワーマンションには、最新の建築技術の粋を集められた安心で安全な設計がなされています。どの要素を考えても、一般の分譲マンションよりもお金がかかっています。ですから、維持費が安くなるはずはない。当たり前ですが、タワマンに住むということはお金がかかるのです。
実際、海外のタワマンでは管理費だけで月数十万円に値上がりし、それが原因で物件を手放すという人も出ています。日本も今後のインフレ次第ではマンション業界全体で似た問題が発生するリスクは想定すべきかもしれません。
その意味では、タワマンは一生住むための物件ではないのかもしれません。人生の中で大きく成功している時期に、その成功をかみしめるためにタワマンに住むという行為が典型かもしれません。
ないしは私の人生設計のように、晩年、もう使うお金が他にはない時期に終の棲家としての快適さを求めてタワマンで一人暮らしをするという場所かもしれません。
つまるところ、「お金がかかってもいいから、ひとときのぜいたくを楽しみたい」という大前提さえわかったうえで、そのときにそこに住みたい住民が集まる場である限りは、タワマンだからといって急に仕組みが崩壊することはないのではないかと、私はこの問題を考えるのです。