【問題の都バス路線その1】
都営バス看板路線なのに大赤字
「都01」渋谷駅前~新橋駅前
渋谷駅前~新橋駅前を区間とし、六本木通りと外堀通りを経由する「都01」系統は、六本木ヒルズや赤坂アークヒルズ、商船三井や双日など大手企業の本社ビル、官庁街や虎ノ門病院にも近い溜池交差点など都内でも有名な場所を通る。運行本数は1時間で最高17本(3~4分に1本)もあり、乗客は1日9334人とそれなりに多い。
しかし、路線単体で見ると赤字額ランキングで2位、1.4億円もの赤字を出している。なお、営業係数は「119」。運転本数の多さがあだとなり、年間支出が9.4億円もかかって巨額の赤字につながっているのだ。
コロナ禍で年間2億~3億円もの赤字を出していた20年度、21年度と比べると改善されているものの、新橋や麻布・六本木といった夜の街への移動需要が回復しきっていない影響もあるだろう。19年度には1万2545人いた1日の乗客数は減少したまま戻っていない。
都01はかつて走っていた都電の代替路線であり、「01」というトップナンバーからも分かる通り都営バスの看板路線だったが、1997年に開業した南北線・銀座線の溜池山王駅に乗客を奪われた。その後は夜の街へ行く需要を見込まれ、2011年には当時の都知事(猪瀬直樹氏)肝いりの施策で終夜運行が行われたものの、定着しなかった。23年4月には1割程度、平日の約20便を減便しているが、低迷が続くようであれば、さらなる減便や終バスの繰り上げなどもありそうだ。