現在の特定技能制度は、不足する労働力を海外の若い労働力で補充しようとするものであるが、少子高齢化のあおりを最も受けている分野(介護・農業・建設など12分野)に限定している。在留期間に上限がなく家族の帯同が許される「特定技能2号」と許されない同1号(在留期間は最長5年)とがあるが、1号該当者が全体で13万人に対し2号該当者はたったの8人しかいない(22年12月末)。このほか廃止が予定される技能実習生が法務省統計によると約33万人(2022年6月末)にも達する。農業部門は最大の働き場であった。
これらの労働力補充制度においては頭脳労働や農業経営、つまりまじめに農作業体験と知識を積んでいけば、その先に自然にわいてくるはずの農業経営実務や頭脳労働についての知的好奇心は無視されるか、そういう意識の醸成自体を否定する仕組みなのである。非人間的な性質は変わらない。
しかし農作業の基礎を身に付け、実践し、経営管理や市場販売の方法を学び、日本的習慣も身に付いたはずの彼らこそ、これからの日本農業にうってつけの人材ではないだろうか?急速な人口減少が長期化する日本で、何から何まで、日本国籍民でなければならないとするような産業では成長の限界があり、現にそうなりつつある。他の産業や企業はそんなことはしていない。日本の株式市場にはそもそも国籍制限がない。