同社は2023年度通期の運輸収入を新幹線90%、在来線定期80%、定期外100%を見込んでいるが、上半期旅客営業収入は通期でコロナの影響がない2018年度(消費増税の影響を補正、以下同)と比較して、定期が84.1%、定期外近距離が同98.3%、定期外中長距離(新幹線・特急など)が同86.2%だった。

 今回、2023年度業績予想の見直しはなかったが、足元の10月はさらに回復傾向にあるため、予想を上回る成績を上げそうだ。

今年度の業績予想を
大幅に引き上げたJR東海

 JR東日本以上に回復が顕著なのはJR東海だ。連結営業収益は対前年同期比29%増の約8175億円、営業利益は同82%増の約3112億円で、これはそれぞれ2019年同期比86%、77%の水準だ。経常利益は同77%の約2786億円で、約1950億円の最終黒字となった。

 同社の浮沈は売り上げの7割を占める東海道新幹線が決定する。コロナ当初、2020年上半期の運輸セグメント売上高は、2019年同期(約7423億円)のわずか3割となる約2125億円で、約1040億円の営業赤字を計上した。それが今期は売上高が同90%の約6716億円で、営業利益は同75%の約2898億円まで回復した。

 ビジネス需要主体の東海道新幹線は、リモートワーク・オンライン会議の定着で大幅な需要減が危惧されていた。実際、今年度上期の2018年度比輸送量は平日が85%、土休日が101%と差がついている。ただ10月・11月(1~15日)は平日も90%を超えており、全列車の輸送量もほぼ100%まで戻っている。

 これらを踏まえ2023年度の業績予想を営業収益で610億円、営業利益で約720億円と大幅に引き上げた。これは前述の通り、固定費が大きく変わらないため増収が利益に直結するからだ。

旅行・不動産事業が
好調のJR西日本

 JR西日本は連結営業収益が2019年同期の約7620億円を上回る約7699億円で、連結営業利益は2019年同期比82%の約1062億円。経常利益は同81%の約984億円で、約671億円の最終黒字となった。このため2023年度業績予想を営業収益で約730億円、営業利益で約250億円引き上げている。

 連結営業収益ではコロナ前を上回ったJR西日本だが、単体の運輸収入は2019年同期比約458億円減の4071億円だ。セグメント別にみると「旅行・地域ソリューション」事業(2019年は「その他」内の「旅行事業」の位置付けだったが内訳は変わらない)の売上高が198億円から950億円に大幅に増加している。