OFF-JT(理論および事例学習):
企業と社員個人
いままで論述してきたようにメンバーシップ型からジョブ型への移行に伴い、ジョブセキュリティーからキャリアセキュリティーへの移行も進んでいきます。社員一人ひとりが自分のキャリアを守りレベルアップを図るためにみずから成長を続けていくことが求められる時代、プロフェッショナル社会への移行が進みます。
OFF-JT(理論および事例学習)で、企業に求められていくのは、ジョブ型への移行と業務のプロフェッショナル化に対応した、リスキリングの機会の提供や継続的学習の風土醸成となっていくでしょう。
継続的学習の風土醸成は、MITサルマ教授提言の
“The Future of Work is Learning.”“Learning is the new secret sauce.”
が潮流となっていくと思われ、参考になると思います。
企業はジョブ型への移行のためリスキリングの機会の提供と、充実した研修や自己啓発支援プログラム導入により企業内に「継続的な学習の風土」を醸成し、「学び続ける組織」への変革を進めていくことが、社員の能力と定着率向上のためにも求められていきます。
一方、個人にとっては、自己責任による継続的な自己啓発がいっそう重要になっていくと考えます。自己啓発では、スキル向上の観点から、財務会計講座、FP&A機能に関する集中講座、英語などのビジネス外国語、そしてゼネラルマネジメントの観点からは、前述のMITブートキャンプのような短期(あるいは、ハイブリッド)MBAプログラム、短期リーダーシッププログラムなどが検討対象になっていくでしょう。
それらの結果、企業に継続的学習の風土が醸成され、学び続ける組織への変革が進み、OFF-JTプログラムと支援プログラムの充実化が進むと、社員は持続的な成長を実感することになり、モチベーションも向上していくでしょう。
連載1回目で言及したスティーブン・R・コヴィー著“The 7 Habits of Highly Effective People” (邦訳『7つの習慣』、フランクリン・コヴィー・ジャパン訳、キングベアー出版)の中の「時間管理のマトリックス」における「能力を向上させる『自己啓発』などが入る『重要だけれど緊急ではない』領域に時間を投資する重要性」の気づきにつながるからです。
T字モデルと守破離プロセスによるジョブローテーションでのキャリア形成とこのようなOFF-JT教育制度の充実化が進むと人的資本経営の好事例となり、社内のCFO人財育成の促進と社外からも優秀なプロフェッショナルの中途採用等が可能になっていく職場風土が培われていくことにつながるでしょう。
社員個人としても、高度専門性を有するプロフェッショナルとして持続的に成長し活躍していくことができるはずです。