「究極の構え」とともに“言葉掛け”をすることが大事

 実際の場面での使い方としては、何らかの意図を持って接近してくる者や、明らかな攻撃姿勢をとる者に対して、この構えをとります。さらに、近寄ってくる者に「何か用ですか?」「来ないでください!」など言葉を発せば、「面倒な相手」「やりにくい相手」「手強い相手」という印象を与え、攻撃を諦めさせる効果もあります。言葉は相手に心理的なプレッシャーを与える有効な手段なので、これを活用し、「青眼の構え」の効果をさらに高めていくことが重要です。

 私たちが企業研修や講座を行う際、「青眼の構え」の練習を通じて、受講者に必ず言葉を発してもらいます。最初は恥ずかしさから声を出せない人もいますが、一緒に練習を重ねるうちに、徐々に気持ちが高まり、積極的に言葉を発するようになります。実際に黙って構えるのと、言葉を発して構えるのとでは、印象が変わることを受講者は理解するようになります。「青眼の構え」と「言葉」はセットだと考えてください。

 さらに「青眼の構え」の優れた特徴は、相手の攻撃が打撃であれ、掴みであれ、どちらにでも対応が可能なところです。たとえば、逃げることができない状況で相手が接近してきたとき、どのような攻撃を仕掛けてくるのか予測できなければ、必ず迷いが生じてしまいます。こちらから先に攻撃することは、社会通念上できませんし、積極的な攻撃を好まない人は、相手の攻撃を受ける状態になるため、対応が遅れてリスクが高くなってしまいます。

 しかし、「青眼の構え」なら、打撃や掴み、どちらの攻撃が来ても共通する動きで対応ができるため、迷わなくて済みます。迷いがなければ先手先手で動けますので、相手の攻撃の初動を制することもできるようになります。

 このように、「青眼の構え」は、不意の攻撃やさまざまな状況にも迅速に対応することを可能とします。結果として、護身力を高め、リスクを最小限に抑えることができるのです。

 繰り返しになりますが、護身術に必要なのは「臆病さ」です。勝つためではなく、「負けない戦い」というのを意識することが重要となります。

 皆さんが少しでも日常に潜む危険から身を護れるようになる手助けができれば幸いです。