●人を仲違いさせて自分が利益を得るために伝える
これが一番タチが悪いだろう。子ども時代を思い出せばピンとくる人もいるかもしれないが、誰かと誰かを仲違いさせ、自分が一方とより仲を深めるために悪口を吹聴する戦略がある。そしてこれは、子どもの世界だけではなく、大人の世界、政治の世界でも使われ、時として極めて威力を発揮してしまう。
実際にはそんな悪口はないのに、悪口があったことにされて伝えられることさえある。
「褒められた噂」とは正反対
悪口を人から伝えられる威力
「〇〇さんがあなたを褒めていたよ」と人から伝えられると、人は2倍うれしいものだ。これは上司が部下を褒めるときにも有効で、人身掌握術でもある。職場内やチーム内でのモチベーションを高めるためにも効果があるだろう。
これと逆パターンなのが「××さんがあなたを悪く言っていたよ」だ。言われた側は当然、悪口の主を恨む気持ちになるし、その悪口を誰が聞いて誰が同調していたのだろうと疑心暗鬼になる。
褒められ言葉は人から伝えられることで2倍、3倍の喜びになるが、悪口は10倍、20倍の負担になると言っても過言でない。コミュニティをギスギスさせたいのであれば、悪口を人から人へと垂れ流すことである。
逆に言えば、人から聞いたネガティブな話をそのままべらべら喋ってしまう人が組織内に1人でもいると、組織の雰囲気はどんどん悪くなる。悪口を言う人と、「人から聞いた悪口」という体でそれを流す人が同一人物という場合もある。
誰しも人の愚痴を言いたくなることはあるものだが、それを言う相手は選んだ方が良いだろう。その言葉をうまく利用される可能性があるし、何倍にも誇張して伝えられてしまうことだってある。