【誤解7】
売却して投資枠が復活するのなら、非課税のままで運用商品を乗り換えられる
投資枠が復活するのは資産を売却した翌年です。売却で得た資金をすぐに他の購入資金として使って商品を乗り換えることは、その年の投資枠が残っている範囲なら可能ですが、その範囲に収まらなければ乗り換えられません。
また、年をまたいで枠が復活する場合でも、例えば取得価格が300万円だった投資信託を500万円で売却し、その資金をそのまま翌年の購入に充てようとしても、年間投資可能額の範囲に収まりません。加えて、非課税保有限度額1800万円という条件に引っかかり、その年に投資できる枠がもともと360万円より小さい場合は、やはりその範囲でしか購入ができません。
新しいNISAは年間投資可能額が大きくなったので、売ると同時に新たな資金を使って買い付ければ即時乗り換えに近いことができるケースもあるとは思いますが、長期で保有できる商品を選び、じっくりと資産形成するのがNISAの基本的な利用法です。
【誤解8】
2023年にNISAを使うと、その分が2024年以降のNISAの投資枠から減ってしまう
従来NISAと新NISAは全くの別物です。投資の限度額や非課税期間などはそれぞれのルールの下で管理されます。ですから、2023年に従来NISAで投資したとしても、2024年以降の新NISAの非課税保有限度額からその分が差し引かれることはなく、ゼロから始めて1800万円(取得金額ベース)まで利用できます。
【誤解9】
従来NISAの非課税保有期間が終了したら、その保有資産を新しいNISAに移せる
いいえ、移せません。新NISAは従来NISAとは異なるルールで運営される別の制度です。したがって、2023年までのNISA口座で持っていた商品を新NISA口座に移管することはできません。
一般NISAであれば5年間、つみたてNISAであれば20年間の非課税保有期間の中で、売却して新NISAであらためて購入する、あるいは非課税保有期間の終了後に、課税口座にその時点の時価で移すことになります。
【誤解10】
新NISAでまた口座開設などの手続きが面倒そう
これまでにNISA口座を持っている場合は、2024年になると同じ金融機関で自動的に新NISAの口座が開設され、利用できるようになります。マイナンバーなどを提出して新たに口座開設の手続きをする必要はありません。
一方、従来のNISAの契約先と新NISAの契約先を変えることも可能なので、契約先金融機関を2024年から変更したいと考えている場合には、契約先変更のための手続きが必要です。
手続きの内容は、現在のNISA口座にある保有資産をそのまま同口座に置いておき、新たな契約先の口座との2つのNISA口座で運用を継続するか、または現在の保有資産は売却または課税口座に移して従来NISAの口座は終了し、新しいNISA口座だけにするかによって異なります。