日本が築き上げた分厚い経済と、まだ小さなスタートアップをつなぐのがCVC


FIRST CVCを主催するBlueCircle共同代表パートナーの山田氏は、ソフトバンクでロボット事業(Pepper)立ち上げの特命チームの財務を担当し、仏Aldebaran Roboticsの買収におけるPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)や財務戦略を推進。その後葬儀スタートアップ・よりそうの取締役CFOに就任し、合計30億円の資金調達を担当した。そんなキャリアの中で感じた「スタートアップという産業の限界」の突破を掲げてFIRST CVCを立ち上げた。山田氏は次のように語る。

直近こそ政府の注目もあって、スタートアップという産業を拡大させようという機運がより高まっていますが、それでも日本のスタートアップ業界は投資総額でいえば5000億円〜1兆円規模の産業です。投資総額で見るべきか、という議論はありますが、経済波及効果を考慮したとしても、まだ日本のGDPの数%にも満たない小さな産業です。

 

大企業にはイノベーターのジレンマがあり新しい事業を作るのに苦戦しがちな一方、スタートアップ産業は継続的に新しいビジネスを生み出します。ただ、スタートアップはIPOできたとしても、多くは売上数十〜数百億円規模の会社にとどまり、巨大産業を作り変えるほどに至る会社は限定的です。

 

一度業界を俯瞰(ふかん)しようと独立しましたが、CVCで働く友人から業界の盛り上がりや、運営上の課題を聞くことがあり、スタートアップという産業が日本の未来を変えるような影響力を持つ重要な経路として、CVCの役割に気づきました。CVCは、日本が築き上げた分厚い経済と、まだ小さなスタートアップという産業を繋ぎ、変革のテコになりえる存在だと思います。

 

スタートアップで起きている変革と日本の中心経済をつなげるためには、CVCという存在を企業の戦略の中心に位置づけていく企業が増える必要があります。CVCに関わる方々の人材層の厚みを増やし、ナレッジを流通させ、スタートアップ側の関心も高めなければいけません。