「ココナラ」や「ストアカ」を始めマーケットプレイス型のスキルシェアサービスも複数存在するが、今の所は競合することもほとんどないそう。集客を期待してこれらのツールと併用するユーザーも中にはいるが、MOSHは基本的に自分のフォロワーにサービスを提供することを目的としているため、用途が異なる。

また同サービスは初期費用がかからず手数料も3.6%と手頃なのも特徴だ(通常は8%だが現在は割引中)。スキルシェアサービスの多くは、10%〜数十%ほどの手数料が発生することが多いため、これらとに比べてもハードルが低い。その反面、スキルシェアサービスのようなポータル機能がないため、SNSを全くやっていないユーザーにとっては集客面で使いこなすのが難しいツールと言えるだろう。

この点について、籔氏はMOSHの開発にあたって「『スマホおよびSNS全盛期』における、個人を主役にしたサービスECの最適解を作ること」を意識したと話す。

「これからはスマホとソーシャルの時代というのは数年前から言われてきましたが、個人がスキルや経験をネット上で売れる『サービスEC』の領域には、このスマホ+ソーシャルの思想で設計されたプロダクトがまだ存在しないのではないかと考えました。たとえば物販であればBASEやSTORESが該当しますが、サービスECにはない。だから今からでも十分にニーズやチャンスがあると思ったんです」(籔氏)

ホームページ作成ツールからのスタートに「なんで今さら?」

ホームページ作成ツールに予約受付機能と顧客からのレビュー機能を搭載したものーー。MOSHはとてもシンプルなサービスとして、2018年2月に正式ローンチを迎えた。

ホームページを作る手段としてはWordPressやWixなどいくつもの選択肢があったので、投資家に話をした際にも「なんで今さら」「Web1.0の時代じゃないんだから」なんてリアクションが返ってくることも珍しくなかったという。

初期のMOSHのランディングページ

「個人事業主の方にインタビューを繰り返す中で『SNSをやり始めてだいぶ盛り上がってきたので、次のステップとして自分でホームページを持ちたい』という声をたくさん聞きました。ITに詳しい人なら既存のツールで十分だと思うかもしれませんが、事業主の方は初めてチャレンジするという状態です。『簡単にホームページを作りたいけど難しい』と話す方が多かったので、まずはその障壁をなくすことから始めようと考えました」(籔氏)

ターゲットとなる個人が必要としていたのは、スマホで簡単にホームページを作れるサービス。MOSHの開発にあたってはドメインの取得やサーバーの構築、サイトのデザイン、予約サービスとの連携などユーザーに少しでも「難しい」と思われる要素をなくすことを心がけた。