ウォルドロン氏と大塚氏はGame Closureのアドバイザーを務めていたが、インスタントプレイゲームをより幅広く普及させるため、そして各ゲームのクオリティを高めるため、カーター氏と共にPlaycoを設立するに至った。Game Closureの技術や従業員はPlaycoが引き継いだ。

Game ClosureではHTML5ゲームの開発に注力していたため、展開できるプラットフォームが限られていた。PlaycoではHTML5が主力なのには変わりはないが、近年広がりを見せているゲームのクラウドストリーミングや、AppleのiOS App Clips、GoogleのGoogle Play Instantといったプラットフォーム特化のツールも活用し、より多様な環境に対応していく。

大塚氏は「スマホでゲームをプレイする場合、これまではアプリをダウンロードする必要がありました。ですが、ストリーミングの技術や通信速度、そしてウェブテクノロジーが全体的に向上し、ダウンロードしなくても遊べるようになってきています」と説明する。

Playcoでは、インスタントプレイに特化した独自のゲームエンジンも開発。将来的にはUnityのように外部の開発者向けに提供していくことも視野にある。

日本に本社機能を置く理由はLINEとの連携と人材確保のため

Playcoは米国のスタートアップだが、前述のとおり、本社機能は東京に置いている。Facebook、LINE、Viber、Snapchatとの提携を発表しているが、カーター氏いわく、LINEとの提携に最も可能性を感じているという。

「米国ではFacebookのMessengerやSnapchatなど、多くのメッセンジャーにゲームを配信していく予定ですが、複数のメッセンジャーを使い分けている人は多い。一方で、日本では誰もがLINEを日常的に使っているため、我々にとっては好条件だと言えるでしょう」(カーター氏)

ウォルドロン氏も、カーター氏と同様にLINEに高い可能性を見出していると説明する。だが、日本に本社機能を置いている最大の理由は「人材の確保」のためだと付け加えた。

「LINEのようなプラットフォームとの提携には大いに期待しています。ですが、我々が日本にいる理由は、どの国よりも優秀なゲーム業界の人材が揃っているからです。そのような人材は歴史のあるゲーム企業で働いているケースが多いですが、国際的なスタートアップとして、彼らに新たな挑戦の場を提供できれば」(ウォルドロン氏)