働き方はリモートワークが中心となり、飲食店や小売店は営業の自粛が要請された。その影響は日本酒業界にも大きなダメージを与えた。3月は毎年10万人が訪れる新潟県最大級の日本酒イベント「にいがた酒の陣」が開催されるはずだったが、中止となった。
4月は歓送迎会時期であり、年末に次いで日本酒の出荷が多くなる時期となる。5月はゴールデンウィークがあり、新潟には県外からたくさんの人が訪れ、観光売店では各メーカーが試飲販売を行い、お土産の購買に繋げている。この日本酒の出荷量が増える時期に新型コロナウイルスが猛威を振るった。
1月から8月までの出荷量を見ると、3月は前年同期比で87%、4月と5月は77%となっている。今まで経験したことのない出荷量の減少となり、各メーカーが販売に苦戦した。6月の出荷量は94%、7月は96%、8月は80%と持ち直しているように見えるが、実際には数字以上の苦戦を強いられている。飲食店でのイベント中止、各売り場での試飲販売、大規模展示会の中止と昨年まで行っていた事ができない状況に置かれている。
新たな試みとしてはオンラインツールを活用し、「オンライン飲み会」「オンライン蔵見学」「YouTube配信」など、人となるべく接触しないように日本酒を消費しようという動きも出てきている。「家飲み」需要が増えているから消費も増えていると言われるが、増えているのはRTD(Ready to Drink。蓋を開けてすぐにそのまま飲める缶チューハイなど)だ。
1月か9月までの出荷量で前年比109%、ビール類は1月から9月までの出荷量で缶は101%となっている。日本酒の1月~8月の出荷量は87%であることを踏まえると、家飲み需要が増えているのにもかかわらず、出荷量が落ちているのがわかる。
新たな顧客を創造し、コロナ禍を生き抜く
需要が減っているとはいえ、販売をしていかなければ私たちは生きていけない。1年前とは違う売り場、新たな顧客を見つけなければ生き残っていけないだろう。
とあるメーカーでは生産体制を大幅に改め、現在の15分の1サイズのタンクを複数導入し、小ロットで受注生産に切り替えるという。新型コロナウイルスの影響で日本酒の需要が落ち込み、従来型の生産では先行きが厳しいと判断したようだ。
そうした中、私たちは新たな取り組みとして、Makuakeでのプロジェクトに挑戦している。現在、挑戦中のプロジェクトは酒米を契約栽培している棚田や農家の方をより多くの方に知っていただき、おいしい日本酒をみなさんに届け、地元を守りながら私たちもコロナ禍を生き抜いていく──そんな思いで実施している。