2020年に関しては新型コロナウイルスの影響で「人事領域のDX」が加速したことも導入企業の増加に繋がった。
リモートワークへの移行によって、多くの企業が目標設定や人事評価をオンラインで実施する必要に迫られた。それを機に従来のやり方をアップデートする企業も多く、そのためのツールとしてHRBrainが検討される機会が増加。問合せ数や商談数もコロナ禍で以前の倍近くに増えたという。
「リモート環境においていかに目標管理や人事評価を実施していくのか。働き方の変化に伴って目標管理や人事評価の手法も変えていくことが求められた結果、HRBrainのような仕組みが『マストハブ』なものに近づいた印象です」(堀氏)
現在は人事評価にまつわる機能に加え、後述する人事データベースや分析機能なども揃えたSaaSプロダクトとして、ミニマムで月額6万9800円から提供している。
カスタマーサクセス担当者による手厚いオンボーディングも特徴で、継続率の高さにも繋がっているとのこと。特に従業員が100名を超えるような規模感の企業だとHRBrainの価値を感じてもらいやすいという(一部で解約に至る企業も存在するが、その大部分は数十名規模の中小企業であり、価格面などを踏まえてExcelやGoogleのスプレッドシードを選ぶことが多いのだそう)。
「人事評価クラウド」から「タレントマネジメントシステム」へ
冒頭でも触れた通り、今回の資金調達はこの勢いをさらに加速してHRBrainの事業を拡大させることが目的。特にプロダクトの機能面では昨年の調達以降取り組んできた「タレントマネジメントシステムへの進化」に向けて投資をしていく計画だ。
堀氏によると以前より大手企業を中心とした既存顧客から「HRBrainを人事データベースやパフォーマンス分析に使いたい」という声が多く寄せられていたそう。
それに応える形で従業員名簿のような「従業員プロフィール」、組織構成・メンバーの顔ぶれをパッと把握できる「組織図ツリー」、蓄積した人材データを活用した「組織分析」といった新機能を次々と実装してきた。
同様の機能を提供するタレントマネジメントシステムはすでに存在するものの、HRBrainは各メンバーの人事評価やパフォーマンスデータと連動している点が特徴だ。
たとえば勤務時間と評価スコアを照らし合わせながら生産性を可視化したり、メンバーの入社経路と1年後のパフォーマンスデータを用いて「どの採用チャネルを強化するべきか」を分析したりといったことが可能。人事評価のデータを軸に、経営者の主観ではなく“データドリブン”に適切な給与をシミュレーションできる仕組みを取り入れていく予定もある。