家族にうつさないことが重要…
ペットは大丈夫

 発覚後はまず二次感染を防止することが重要だという。もちろん他の人に皮膚が接触しただけで伝染することはないが、衣服にコロモジラミがまぎれていたら大変。52度以上のお湯に5分間ひたせば成虫も卵も死滅するというので、旅行バッグの中のすべての衣服を煮沸あるいは捨てる必要がある。

 数日間、人の血を吸わなければ生命は維持できないということなので、自分を含めて家族にその後の症状が出なければ根絶できたということに。そしてシラミやダニは人間なら人間だけ、犬なら犬、猫なら猫にしか寄生しないので、ペットに被害を与える心配はまずないという。

 フランスでこれまで800泊はしているがこんな災難は初めて。しかも20年近くお世話になっているパリのプチホテル(三つ星、シングルルームで1泊2万5000円)で被害に遭っただけにショックは隠しきれない。翌年からホテルを変えたのは当然だ。もし今後、ホテルのシーツにシラミがいるのを確認したら、部屋を変えてもらうくらいでは不十分で、そのホテルを退去するくらいの決意がある。

 チェックインした部屋でシラミを目撃しなくても、スーツケースなどを大型のビニール袋に入れてから床に置くなどの対策が推奨されているという。じつはさらに告白すると、旅行バッグの中にパリのシラミがまぎれ込んでいたようで、日本の自宅にシラミを持ち込んでしまったのである。

 新しい虫刺され痕に気づき、シラミの存在を疑ってベッドをひっくり返すなど徹底的に捜査してみると、数匹が潜伏していたのである。すぐさま押しつぶして根絶。念のため可能な限りのものを熱湯消毒あるいは廃棄した。繁殖してしまうと心配で睡眠不足に陥るなどの健康被害も誘発する可能性が高いという。

 殺虫剤は効果がないが、虫刺され痕をケアする薬は有効なので、日本から副腎皮質ホルモン系塗り薬を強さのレベルが違うものをいくつか用意して、万一に備えている。現地の取材仲間にも手渡せるような数を用意しているのは、あの苦しみを最小限に抑えてあげたいからだ。

 紛争地の難民キャンプでこういった被害が生じているのは容易に想像できる。生きていくことが精一杯の人たちは、お風呂に入ることもできず、衣服を何日も洗濯できずに着続けている。そんな情勢もあってシラミは世界のあちこちに寄生の範囲を広めている傾向にあるようだ。なんらかの経路でそんな厄介な寄生生物が日本にも到来しているので、みなさんご用心。