これまで、内田CEO・グプタCOOの両輪で事業構造改革を急いできた日産だ。当面は、内田社長に権限を集中させ、迅速な経営判断を行える体制で次期中計に臨むことになるものの、この次期中計の公表も延期しており一抹の不安が残る。

 内田体制も5年目に入る。ポスト内田の最有力候補と目されたクプタ前COOの突然の退任もあり、日産にとっては、内田社長の後継者選任も含めて、来年から始まる日産100周年に向けた道筋が最も大事な時期だ。

 三菱自を含む日仏3社連合は、ゴーン氏が支配した無理なグローバル拡大戦略のツケとコロナ禍による市場低迷で、ここ数年、構造改革に躍起になってきた。3社とも、この23年で業績を回復しており、ルノー・日産の資本関係見直しで3社連合は大きな転機を迎える。

 日産にとって創立90周年という大きな節目を経て、次の100周年に向かう。主力となっている中国事業の立て直しなど多くの課題も抱えているが、ルノーのEV新会社・アンペアにも日産は三菱自と共に出資しており、3社連合を改めて強化して成長機会と捉える。

 ライバルだったトヨタは「この指とまれ」(豊田章男会長)と、日本連合としてのグループ連携を強めている。日産も、CASE時代が本格化するこの時期に「他のやらぬことをやる」創業の精神で3社連合をリードして生き抜いていくことを期待したい。

(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)