「自己破壊をしないようにしましょう」
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)
「自己破壊型」の処方せん
人間は、人生にムダな時間ができてしまうのをとても嫌います。
「何もせずに1時間ボーッとしてください」
と言われても、きっとできないでしょう。
すぐにスマホに手が伸びるはずです。
そこまで時間が貴重であることを、「理性的な自分」は理解しています。
しかし、わかっていてもムダづかいをしてしまうのが人間です。
わかっちゃいるけど、やめられない
「タバコが体に悪い」ということを知らずに吸っている人はいません。
それと同じように、
「自己破壊的な行動をやめられない」
「自分を傷つけるのがやめられない」
という「自己破壊型」なメンヘラっぽさは、人間の弱い部分にあらわれてしまいます。
「自己破壊」という言葉だけを見ると、とても恐ろしいことのように思えます。
しかし、じつは誰しもが「軽い自己破壊」をしているものです。
意味もないネットサーフィンやムダ話をしている時間も、広い意味では「自分の寿命のムダづかい」であり、自己破壊と言えます。
それが軽ければ「ストレス解消」になるものが、「これしかない!」という感情によってエスカレートするのが、「自己破壊」へと進んでしまうメンヘラなのです。
リストカットやアルコールの一気飲み、カード限度額までの買い物……。
生活に大きな支障を与えるなら、それは治療を必要とする病気です。
しかし、その一歩手前で悩んでいる人が多いと思います。
そうであれば、「理性的な自分」によってコントロールする術を身につけてほしい。
精神科医として、心からそれを願います。
自分を納得させる方法を身につけよう
ヤケクソでお酒を飲んでいるように見える人も、決して私たちと無関係ではありません。
何か訳があって、一瞬の安らぎを得るために、そうなっていると考えてみてください。
私たちは、他人に対してなら、いつだって「理性的な自分」でアドバイスができるはずです。
「飲みすぎは良くないよ」
「タバコは体に良くないよ」
と、簡単に言うことができます。
しかし、大事なのは、自分で自分を納得させる方法なのです。
その入り口になるのは、「頭んなかがメンヘラになっている!」と思う、一瞬の気づきをすることです。
そして、「感情」と「理性」を一致させる「ハラ落ち」の体験をすることなのです。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』より一部を抜粋・編集したものです)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医。
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。