組織・チームを率いる管理職にとって、部下との接し方で気をつけなければならないのが「高圧的な態度」を取らないことです。ここ数年、パワハラが社会問題となるケースは後を絶たず、2022年4月からはパワハラ防止対策が全企業で義務化されています。
そこで今回は、大ベストセラーシリーズ『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』の累計100万部突破を記念し、著者・安藤広大氏(株式会社識学 代表取締役社長)にご登壇いただいた特別イベント『とにかく仕組み化』サミット(ダイヤモンド社「The Salon」主催)で寄せられた「部下への接し方」にまつわる質問への、安藤氏の回答を公開します。(構成/根本隼)
Q. 部下への指導方法がわかりません
読者からの質問 部下が目標を達成できなかったときに、どのように指導してよいかわかりません。いまどき、少し厳しく接しただけで「パワハラ」と受け取られてしまいそうで怖いです。
安藤広大 大前提として、「部下を指導する」という行為と、「パワハラ」とはまったく違うものです。
部下が出した成果に対して、ルールに則って厳正に評価することはパワハラでありません。これは全くもってフェアな対応ですし、むやみにパワハラを恐れてしまうと、必要な指導すらできなくなります。ルール通りの運用を心がけましょう。
実は、この「ルールに則って」というのが重要なポイントです。なぜなら、パワハラが起きる真の原因は、「ルールの欠如」だからです。
ルールがあれば「高圧的な上司」の居場所が消える
たとえば、「赤信号を渡ってはいけない」というのは、誰でも知っているルールですよね。なので、赤信号を渡ろうとしている人にそれを指摘しても、パワハラにはなりません。「赤信号は渡っちゃダメだよ」と言えばそれで済む話です。
しかし、明文のルールがない状態だと、部下の行動を律することが難しくなります。だからこそ、部下に言うことを聞かせるために、上司が感情的な言動をとるようになるんです。その結果として、「パワハラ」が生まれます。
なので、はじめにルールをきちんと定めておいて、その後はあくまでそれを指摘するというスタンスをとることが非常に重要です。逆にいえば、ルールができていれば、すぐ感情的になるような「高圧的な上司」の居場所はなくなります。
このことを頭に入れたうえで、職場のマネジメントに取り組んでみてください。
(本稿は、ダイヤモンド社「The Salon」主催『とにかく仕組み化』サミットで寄せられた質問への、著者・安藤広大氏の回答です)